文春オンライン

元月ベイ編集長が宜野湾で考えた 筒香嘉智の抜けた穴をどう埋める?

文春野球コラム オープン戦2020

2020/03/05
note

「強い集団には、力強い『わん!』が溢れている」

 そんなことを考えていた時に、宜野湾球場の一角でこんな張り紙も見つけた。

宜野湾球場の一角で見つけた張り紙 ©岸野啓行

『ONE わん!』と大きく書かれたその張り紙にはこう書かれていた。

『ONE(わん!)の意味』

ADVERTISEMENT

・No.1は俺たちだ!
・ONE TEAM
・1日、1球、1つ、1cm ...

あなたは今日、この瞬間、何を得ただろうか。
時間はみな平等、どう使うかは自分次第。

今日よりも明日へ。
ひと時も無駄にせず、強い目的意識をもって。
最高の歓喜で溢れる日まで。

強い集団には、
力強い『わん!』が溢れている。
                      

 そうだ、これこそが今シーズンのDeNAベイスターズを、そして今回の宜野湾春季キャンプを端的に物語っているのではないだろうか。

 冷静に考えてみれば、現時点のDeNAベイスターズにおいて確約されたレギュラーといえばサードの宮崎くらいではないだろうか。外野のレギュラー争いは先述の通りの激戦であるし、ソトやロペスといえども外国人枠次第では一軍メンバーから外れることさえあり得るのだ。キャッチャーもしかり。伊藤光を中心に戸柱、嶺井、さらに山本、高城も巻き込んだ争いになっている。セカンドは柴田と伊藤裕というタイプの異なる2人がしのぎを削っているし、この2人のポジション争いの結果次第ではショートの大和だってウカウカしていられない状況なのだ。

 まさにチーム全体が、全てのポジションで激しい競争を繰り広げており、それが生み出す相乗効果によって、チーム全体のレベルを押し上げていくことになるのである。つまり、今シーズンのDeNAベイスターズの注目ポイントは「筒香の抜けた穴をいかに埋めるか」ではなく、「筒香を送り出したNo.1を目指す、チーム全員で作り上げる新たなチーム(=ONE わん!TEAM)」なのである。

 マシンガン打線に代表されるように、チーム全体が一丸となり勝ち星を積み重ねてリーグ優勝と日本一を成し遂げた98年の横浜ベイスターズと、どことなく同じような気配すら感じられた“ONE(わん!)”DeNAベイスターズ。チーム内の競争が生み出す相乗効果で頂点をつかむことを期待したい。

 そういえば、当時月ベイ編集部で制作したリーグ優勝記念写真集のタイトルは『一丸野球の戦士たち』だったっけ……。

月ベイ編集部で制作した98年のリーグ優勝記念写真集 ©岸野啓行

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム オープン戦2020」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/36442 でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。

元月ベイ編集長が宜野湾で考えた 筒香嘉智の抜けた穴をどう埋める?

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー
文春野球学校開講!