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救急センター長は「何を言っているか分からなかった」

 同国の救急センター長は取材に「通報を受理した職員は(母親が)パニックで大声になっていて、何を言っているのか分からなかった」と明らかにした。通報の録音を聞いても、やはり意味が理解できなかったという。同国の救急通報システムでは通常、通報者の位置情報も送られるので、通報内容が理解できなくても「救急や警察が自宅に駆け付けられたはず」との指摘には、センター長は「詳細については調査中」と答えるに留めた。

 だが、取材に応じた姉妹によると、「母は英語ができる。『娘の様子がおかしい。息苦しそうだ』と言っていた。理解はできたはずだ」と反論している。

新型コロナウイルスの感染拡大についての対策を述べるソフィー・ウィルメス首相。女性として初めてベルギーの首相に就任した ©時事通信社

 子供の容体が急激に悪化すれば、親ならパニックになるのは当然だ。ラッヘルちゃんの母親の通報が理解できなかったのは、ある程度は仕方のないことかもしれない。だが、緊迫した様子は伝わったはずだし、いたずらとの区別も簡単についただろう。それなのに、なぜ救急も警察も現地に駆け付けなかったのか。かかりつけ医の対応もお粗末としか言えない。救えた子供の命を、大人が絶やしてしまったのではないか。