東京では感染の拡大拠点となった夜の街への外出自粛をめぐって紛糾するのをよそに、欧州では新型コロナウイルスにかかった12歳の少女と13歳の少年の死が波紋を広げている。ベルギーと英国発のニュースは一瞬で世界を駆け巡り、都市が封鎖された欧州の「戦争状態」をまさに象徴する事態と受け止められている。それが、明日の日本の姿ではないと、なぜ断言できようか。

 ヨーロッパが厳粛な悲しみに包まれた、と表現しても今の状態を鑑みれば決して大げさではないだろう。3月31日、ベルギーの12歳の少女・ラッヘルちゃんが新型コロナウイルスに感染後、死亡したと当局が発表。欧州では最年少の死者だった。そしてその前日には英国で13歳の少年が命を落としていたことがわかった。

13歳の少年が新型コロナウイルスで亡くなった(この写真はイメージです) ©iStock

感染確認からたった3日で死亡

「極めて稀で、我々を打ちのめす出来事だ」

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 ベルギー政府の会見で報道担当を務める感染症学者は言葉を絞り出した。少女は発熱してわずか3日後に息を引き取った。

 イギリスの少年は誰に看取られることもなくこの世を去った。隔離中だったからだ。少年は呼吸困難となって入院し、3月27日に感染が確認された。人工呼吸器を装着したが、意識不明の状態となり30日に亡くなった。

 亡くなったのは、ロンドン南部ブリクストンに暮らしていたイスマイルさん。ロンドンのキングス・コレッジ病院が死亡を発表した。遺族は彼の死に先立ち、父親をがんで失っていた。少年に持病はなかったという。

イスマイルさんが入院していたキングス・コレッジ病院 ©iStock