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5人中4人が無症状とも……現役医師が訴える「“三密自粛”だけでは、もう医療崩壊を防げない」

徳田安春医師インタビュー

2020/04/10
note

 

COVID-19対策への緊急提言

 

 東京の医療現場は今、大変な状況下にあります。危機管理とは「最悪の事態も想定して準備すること」です。東京でこのまま指定医療機関に患者が殺到すると、本格的な医療崩壊になります。

 

 PCR検査が重症者と濃厚接触者に事実上制限されているため、実際の感染者数を過小評価しています。検査されていない軽症者や無症状者はかなりの数おり、隔離せずに感染が拡大していると考えられます。感染者が増えると、その中から重症者が出てきます。

 

 医療機関やテストサイトでのPCR検査のオーダーは現場の医師の判断でやらせてください。この病気は届け出対象なので、陽性ならばすぐに届出ができるようにすればよいのです。検査の適応を判断したらテストサイトへ送れるようにしてください。

 

 PCR検査を行うテストサイトは、休校中の都立学校の校庭などに設置すればよいと思います。テストサイトは、地域によっては、医療機関の輪番制で、その当番日のみ特別にテストのみの診療業務を行うこともできると思います。医師の簡単な問診で適応を判断し、検体採取の担当は地域の医療者だけでなく、医療者ライセンスを持つボランティアと自衛隊にも依頼すればよいと思います。

 

 また、至急、病院での急性期ケアが済んだ軽症者を全員、ホテルや選手村を改造し、医療管理が可能な施設として、そこに移してください。自衛隊などの応援要請も必要となると思 います。

 

 患者の爆発的増加に対応するため、オリンピック会場などをシェルター病院に変換してください。中国からの参考資料として、中国のシェルター病院「鍵と機能」があります (Lancet誌より)。これは、3つの鍵(迅速設置、巨大スケール、低コスト)と5つの機能(隔離、トリアージ、基本的医療、頻回モニタリングと迅速な患者搬送、基本的な社会生活の環境設置)です。

 

 最後に、最も重要なことですが、PPEの迅速大量生産を⺠間に依頼お願いします。これは医療者を助けます。

 

トリアージ案:

(1)無症状者は自宅またはホテルや選手村等の施設

(2)軽症者はモニタリング可能なホテルや選手村等の施設(可能であれば、医療が必要な中等症者はシェルター病院)

(3)ICUケアやハイレベルケアが必要な重症者は指定医療機関(回復したらシェルター病院やホテルへ)

 

 以上。

 

 東京 近藤太郎(近藤医院、東京都医師会・元副会⻑)

 ロンドン 渋谷健司(WHO事務局⻑上級顧問、英国キングス・カレッジ・ロンドン教授)

 沖縄 徳田安春(群星沖縄臨床研修センター⻑)

5人中4人が無症状とも……現役医師が訴える「“三密自粛”だけでは、もう医療崩壊を防げない」

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