政府やマスコミの公報が全く足りていない
私は、日本でソーシャル・ディスタンスがしっかりできていないのは、一般市民のせいではなく、政府やマスコミ(とくにテレビ)の広報が不十分だからだと思います。
このビデオを見てください。これはBBC(英国放送協会)が作成した動画です。2メートルの距離がどれくらいかを理解してもらうのに、背が高いスポーツ選手やショッピングカートを並べて例えるなど、興味をひくようにおもしろく、かつ具体的に教えています(BBC NEWS Japan「2メートルってどれくらい? 感染対策に必要な距離」2020年3月29日)。
BBCは他にも、「COVID-19にかかった人を自宅でお世話するにはどうしたら」「家にいることで人の命を助けられる 新型コロナウイルスで外出制限」など、コロナと戦うために一般市民が何をするべきかを具体的に伝える、とても優れた動画を次々配信しています。
私は、この点が日本の情報発信で決定的に欠けていると感じています。星野源さんとの「無断コラボ動画」をツイッターに流すくらいなら、安倍首相と政府はBBCのようなメッセージ動画をつくり、ツイッターやテレビCM(ACジャパンや政府広報)を使って、何度も何度も国民にソーシャル・ディスタンスを呼び掛けるべきではないでしょうか。
緊急事態宣言を早く終わらせるためにも
ワイドショーをはじめとするテレビ局各社も、感染拡大や医療崩壊を阻止するために、今、一般市民は具体的にどう行動すべきか、しつこいくらいに伝えるべきです。安倍政権の休業補償政策の是非や、PCR検査の拡充、医療崩壊阻止の対策、期待できる治療薬等について議論することはもちろん重要です。しかし、そうした話題にあまりに偏り過ぎのように感じます。
専門家会議を信じるならば、人の接触を8割減らせば、感染者が大幅に減らせるはずです。緊急事態宣言を早く終わらせるためにも、今、一人一人の行動変容が求められています。自粛は苦しいですが、みなさんも外出をできるだけ控え、外出したとしても人となるべく距離を取るよう、「ソーシャル・ディスタンス」を意識してください。