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スタッフの“フロンターレ愛”に応えたい

――フロンターレは、ホームゲームの企画やイベントが満載で、Jリーグのスタジアム観戦者調査において地域貢献度で6年連続(10~15年)1位に輝いています。スタジアム収容率も約8割と人気が高い。試合のハーフタイムでフォーミュラカーを爆音立てて走らせたり、スターティングメンバーの発表を相撲の呼び出し風にしてみたり、ファン、サポーターを楽しませる企画やイベントが多い。監督として、フロンターレ独自のアミューズメント路線をどう思いますか?

「いいと思いますよ。事業部のフロンターレ愛というものを凄く感じます。現場が結果を出せないときも工夫をした企画でお客さんを呼んでくれますから。僕たちが結果を出せれば、もっと呼びやすい状況をつくれると思うし、相乗効果になっていければいいですよね。現役のころはどうしてこんなにイベントが多いんだろうとは思っていました。でも現役を引退して育成のコーチになって、ファン感謝デーの準備を手伝ったことがあったんです。事業部の人は朝5時ぐらいから準備してくれて、凄くありがたいなって思いました。彼らのフロンターレ愛に応えなきゃいけないなって感じています」

――このクラブは、ファンサービスを重視してファンと現場の距離が近い。例年、シーズン前の商店街への挨拶まわりも恒例ですけど、鬼木さんの現役時代もやっていたんですか。

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「ありましたけど、フロンターレのことはまだ全然知られていなかったんで(反応は)それほどでもなかったというか。今年1万人の方に来ていただいたファン感謝デーも僕らのときは少人数で収まっていましたから。そう思うと(今の人気ぶりは)嬉しい限りです。現場を預かる身としては選手の負担になってしまうことはなるべく避けたいですけど、そのあたりも事業部はよく分かってくれていると思うので。いろいろとファンとの交流の場があるというのはフロンターレらしくていいなと思います」

 

――監督だとなかなか家庭サービスもできないんじゃないですか。

「小学校6年生、3年生の男の子がいますけど、ほったらかしで妻に任せています(笑)。感謝しています」

――フロンターレはACLで準々決勝に進み、Jリーグでも上位につけています。そして観客も集まって、スタジアムはにぎわっています。このクラブのリーダーとしてどうありたいと思いますか。

「もちろん監督なんで、先頭に立ってやっていかないといけないとは思っています。勝利に対する執念を含め、自分の姿勢を見せていくことが大切だと感じているので。だから俺たちもこうしなきゃいけないって選手たちが思ってくれればいい。ただ、任せるところはうまく任せながら。このクラブにはフロンターレ愛の強い人が凄く多いので、みんなで盛り上げていければいいですね」

 

写真=鈴木七絵/文藝春秋