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山中をE233系が駆け抜けるというアンバランス
廃線跡を堪能して奥多摩駅に戻ってきたら、再び青梅線に乗って少しだけ青梅方面に戻って御嶽駅。ロッジ風の奥多摩駅に対して御嶽駅は寺社建築風の駅舎が出迎える。こちらは駅名の通り、御岳山への登山口。バスに乗り継げば御岳登山鉄道ケーブルカーの滝本駅だ。そこまで行かなくても御岳渓谷の景勝が駅のすぐ近くにあり、美術館もいくつかあるので充分楽しめる。
そして最後の訪問先は軍畑駅。読み方は“いくさばた”。戦国時代、周辺を治めていた三田氏と北条氏が激突した辛垣の戦いの舞台になったことからこの名が付いたという。駅そのものは何の変哲もない小さな無人駅だが、みどころは駅のすぐ近くにある奥沢橋梁だ。多摩川の支流・平溝川の渓谷に架かる橋で、赤い橋脚がインパクト大のトレッスル橋。長さは105mとさほど長くはないけれど、高さはなんと40m超といかにこのあたりが山深いのかを教えてくれる。そして、そんな山中を中央線と同じJR東日本が誇るE233系が駆け抜けるというアンバランスもまた、青梅線ならではだ。
他にも青梅駅の発車メロディが「ひみつのアッコちゃん」、奥多摩駅が「どんぐりころころ」だったり、五日市線と分岐する拝島駅近くの米軍横田基地を飛び立つ軍用機だったり、楽しめるポイントは意外と多い東京最高標高の青梅線。日帰りでのローカル線の旅を、楽しんでみてはいかがだろうか。
写真=鼠入昌史