夏である。暑いのである。
青春18きっぷを握りしめて鉄道の旅に出ても、うかつに田舎の無人駅に降り立ってしまえば、ギンギラギンの太陽に照らされながらいつやってくるともしれないディーゼルカーを待つ……なんて展開になりかねない。あな恐ろしや。
となれば、こんな夏だからこそ真冬の雪に埋もれた駅の姿を思い出し、少しでも涼を取りたいものである。というわけで、少しでも涼しさ、寒さを感じるべく、真冬の雪国で氷点下の寒さに凍える駅を紹介しよう。
寒さと寂しさがつのるばかり
■稚内駅(JR北海道/宗谷本線)
言わずと知れた日本最北端の駅である。ここにたどり着くまでに、氷点下の駅なんていくらでも経験してしまっているから体も麻痺してしまうけれど、もちろん気温は氷点下。港にも近く、冬の宗谷海峡の荒波も寒さを際立てる。寒さに耐えかねたら駅ビル「キタカラ」で暖を取れるあたりは実にありがたい。
■音威子府駅(JR北海道/宗谷本線)
宗谷本線の各駅停車が長時間停車(バカ停)することでおなじみ。天塩山地の中ほどにあり、読み方は“おといねっぷ”である。かつては天北線と分岐していた交通の要衝も、さすがに1時間半もここで待たされるのはチトきつい。そばの実をまるごと挽いた駅そば“音威子府そば”が名物だが、営業時間は10~15時半。訪問時は開店前で、寒さと寂しさがつのるばかりであった。