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雑誌は全て刃物で切り刻まれていた
予想外の展開に戸惑いながら、中に入った。その部屋には、バラバラになったエロ本の紙切れが、20センチほど堆積していた。これは、とんでもない量だ。本能的にこの空間のヤバさを感じ取り、心臓の鼓動が大きくなる。警戒しながら室内を見渡すと、私はあることに気が付いた。
これらの切れ端は、単に雑誌がバラバラにされたものではなく、全て刃物で切り刻まれたものだったのだ。しかも、大きさはどれも異なる。つまり、まとめて裁断したのではなく、1つずつハサミで切り取られているということだ。
それまでも多くの廃墟を見てきたが、これほど戦慄したことは一度もなかった。夕暮れ時だったこともあり、気味が悪くなって早々に退散した。
1年後に再訪してみると……
その後も、あの小屋で見た猟奇的な光景を思い出すことはあったが、私は近寄らないようにしていた。それでもどうしても気になり、再訪してしまったのは1年以上が過ぎた日のことだった。
久々に中を覗き込むと、積み重ねられた切れ端の量も内容も、前回とは変わっていた。何者かが雑誌の切れ端を大量に持ち込み、更新しているようだ。この小屋の猟奇さが、さらに増した気がした。
ここで一体何が起きているのか。こんなことを続けているのはどんな人物なのか。
この小屋のことが気になり、好奇心が止められなくなってしまった。以後、私の訪問ペースは格段に上がっていった。