「前回の総裁選に出馬された石破(茂)さんも政治家です。自らどうあるべきか、どう行動すべきか、絶えず自問自答しておられるのでしょう。石破さんは同じ1957年生まれで、以前から一緒に誕生会を開いている間柄でもある。ただ、私としては他人をどうこう言うより、まずは自分がやるべきことを考えるほうが先。腹の中は別として、表向きはそうありたいと思っています」

「文藝春秋」7月号のインタビューで、そう語ったのは、岸田文雄政調会長(62)。「ポスト安倍はどっちだ」と題した同じ7月号のインタビューで、石破茂元幹事長が二階俊博幹事長や菅義偉官房長官へ秋波を送るなか、安倍晋三首相が次期総裁の「本命」と見ている岸田氏の動向が注目されている。

岸田文雄氏 ©文藝春秋

古賀氏も認めていた岸田氏と菅氏の「距離感」

「文藝春秋」2019年11月号に掲載したインタビューで、初めて総裁選出馬を明言した岸田氏。ただ、「ポスト安倍」候補を尋ねる世論調査では軒並み支持率は3~4%程度に留まり、知名度の低さは相変わらずだ。

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 それでも、安倍首相や麻生太郎副総理らは、岸田氏を次期総裁候補として位置付けてきた。第1次補正予算案で当初、首相の意を受け、「減収世帯への30万円給付案」を取りまとめたのも岸田氏だった。ところが、公明党・創価学会の反発を受け、「国民一律10万円給付案」へ舵を切らざるを得なくなったのは記憶に新しいところだ。

 首相らの支持を背景に先頭を走ってきたはずの「ポスト安倍」レースに暗雲が立ち込めるなか、焦点となっているのが、菅氏との関係である。

菅義偉氏 ©文藝春秋

 古賀誠元幹事長が「文藝春秋」4月号で「どうも互いが互いを苦手にしているのか、接点があまりないようです」と述べたように、両者に距離感があるのは事実。菅氏が裏では、岸田氏に否定的な発言を重ねているとも伝えられる。そんな中、若手議員らへの影響力も大きい菅氏との連携に期待感を滲ませたのが、総裁選のライバル・石破氏だ。