ヤマザキ 他人の不倫が正しいかどうかなんて余計なお世話と思うけど、人類の脳の仕組みである以上、これは誰もが陥ってしまう可能性があるということですよね。
パチンコの「店名公表」は日本独特?
中野 はい。こういう心理の盛り上がりは東日本大震災の時にも発生しました。社会そのものが崩壊の危機に瀕した時には、個人の利益よりまず集団の利益を社会全体が優先するようになるのです。そうした心理が強く働くから、「みんなステイホームで我慢しているのに、沖縄に行って遊ぶなんて不謹慎」「この時期にパチンコ屋が営業するとは何事だ」と、批判が集中してしまうのです。
ヤマザキ イタリア人に話して一番ウケたのは、大阪府が営業自粛の要請に従わないパチンコ店に対し、「店名を公表する」と警告したことでした。「エッ、日本って、店名を公表されるのがそんなにヤバイことなの?」というのがイタリア人の反応。しかし、日本では効果は絶大でしたね。皆すぐに店を閉めました。しかもその表向きの理由は「従業員を守るため」だった。日本では感染者を出すこと自体がもはや犯罪であるかのような扱われ方ですが、イタリアではまったくそんなことはありません。新聞では新型コロナで亡くなった方の実名がお悔やみ欄に連ねられていたし、コロナ患者は自ら顔出しして、「こんなに苦しいんだ、しっかり予防しろ」ということをSNSなどで積極的に発信しています。いわゆる感染者差別というのは全くと言っていいくらい、ない。病気での差別は数百年前までのプリミティヴな人間のやることだと捉えている。
中野 本当に日本は「空気」ですべてが決まる国ですね。
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対談ではさらに、危機の時代だからこそ明らかになった各国の素顔、女性がリーダーの国が優れた対応をしたという指摘が行われたが、その背景にあったもの、日本とイタリアの対応の違い、ローマ帝国において社会の発展に疫病がどう関係したかまで縦横無尽にコロナ禍で起きた問題について考察を深めている。
詳しくは「文藝春秋」7月号および「文藝春秋 電子版」に掲載の「コロナでバレた先進国の『パンツの色』」をお読み下さい。
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差別と偏見、自粛警察、正義中毒……コロナでバレた先進国の「パンツの色」