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「誰かの力になりたい」元阪神・横田慎太郎が壮絶な闘病を語る理由

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/07/02
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 皆さま、初めまして。元阪神タイガースの横田慎太郎です。まず、この場を借りて、ファンの方に伝えたいことがあります。本当に今までたくさんの声援をいただいてありがとうございました。6年間のプロ生活で皆さまの応援がずっと力になっていました。そして、今年から文春野球でコラムを書かせてもらうことになりました。不安しかなかったのですが、昨年は阪神で先輩だった西田さんも書かれていたと聞き、一気に自信がわいてきました。西田さんにできるなら、自分もたぶん大丈夫です(笑)。

横田慎太郎 ©文藝春秋

自分がやるべきこと、これから進んでいく道

 昨年9月に現役を引退して、今は地元の鹿児島で人生初の一人暮らしを始めています。今まで実家、プロでも寮だったので、大変な部分もありますが生活はできています。自炊したり、すべてが初めてで新鮮ですね。

 その中でも新しく始めたものがいくつかあって、1つは読書です。野球から離れて、今まで何もしてこなかったので、これから勉強していかないと先に進めないと思ってました。今まで生きてきて本を読んだことがほとんど無くて、現役の時に福留さんに“もっと本を読め”と言われたことを思い出したのがきっかけです。本を読んで、人と話す時に思い出したり、これからの僕の人生ではマナーとか常識も大事になるので、自分で勉強していけることはやっていこうと思います。でも、毎日本を読んでいる自分が今は信じられません。

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 本はいろんなジャンルを読んでいます。京セラなどの創業者の稲盛和夫さんの著書だったり、自分が生きる上ですごくタメになる話ばかり。学びになったのは、ある本に人間は第一印象が大事ということが書かれていたころ。僕もこれから会っていく人には第一印象を大事にして物事をはっきり伝えられるようになりたいです。今後は人に会う機会も多くなってくると思うので。

 そして、家庭菜園も始めたんです。家でできることは何かないかと探していると、今の時期は花を育てる人が多いというのを知って、自分の場合は野菜が好きなんで育ててみようかなと。ホームセンターに行って、ミニトマトとオクラの種を買ったんですが、うまく育ってないですね……。収穫して食べたいのですが、それが今の悩みですかね。

 今後のことについては、たくさんの方に心配をしてもらっているんですが、まだ決まっていません。1つ言えることは、自分の経験を多くの人に伝えられる場にどんどん出ていきたいなということです。17年の2月に僕は脳腫瘍という病気になりました。つらい闘病も経験しましたが、今振り返ってみると、病気になってからの3年間で自分は精神的にすごく成長できました。だから、病気になったことに対して今は後ろ向きな気持ちは全くないんです。そして、自分がやるべきこと、これから進んでいく道も分かってきました。

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