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「誰かの力になりたい」元阪神・横田慎太郎が壮絶な闘病を語る理由

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/07/02

もっと誰かの助けになれるんじゃないか

 今年1月にファンミーティングをさせてもらったのですが、イベントの後に参加者の方ですごく苦しい境遇の方々から手紙をいただきました。少し乱れている字を見ても、大変な状況なんだと感じました。中にはお腹の中にいた赤ちゃんが亡くなってしまって、そういう方がイベントに参加してくれて……自分はびっくりしたんですが、その方からは力をもらったと言ってもらいました。家から出られない人が僕の引退試合のバックホームの映像を見て、外に出ようと思ってくれたり……すごく嬉しいです。野球を知らない方の力になれる。自分は発信することで、誰かの役に立てる。引退して、すごく大事なことに気付けました。

 闘病の様子など、ユニホームを着てる時はあまり話さないようにと言われていましたけど、これからは自分の言葉で伝えていきます。自分は喋ることは下手ですが、口に出して言えば、もっと誰かの助けになれるんじゃないかと思っています。

 病気になってから、いろんな厳しい場面がありました。入院して、頭の手術をした直後に記憶が消えてしまったり、2カ月間は視力も無くなりました。食事も母親がいないと食べられませんでした。頭の毛も、体の毛も全部抜けてしまいました。本当に“真っ暗”な状態だったんですが、その中でも何か1つでも小さな目標を作って前に進んでいくことを続けてきました。もちろん、両親や姉、タイガースのチームメートにも何度も励ましてもらい、一度も諦めることなく試合に出るという目標に向かって突き進んでこられました。

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 だから最後の試合であんなプレーができたのも、周囲に支えてもらったことはもちろん、自分も一歩ずつ前に進んでいけたからだと思っています。この経験を発信して、今悩んだり、苦しんだりしている人の少しでも救いや助けになればと思ってこれからもどんどん自分の言葉で伝えていけたらと思っています。

 長くなってしまいましたが、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。次回からはお世話になったタイガースの仲間との思い出やエピソードを書いていこうかなと思っています。これからも、よろしくお願いします!

©チャリコ遠藤

構成/チャリコ遠藤

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