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グイグイ攻めていた吉田侑樹の投球

 で、この試合、とにかく収穫は吉田侑樹だった。東海大卒の2年目、23歳。すごく面白いピッチャーなのだ。右腕の可動域がびっくりするくらい大きい。肩・肘の関節が柔らかいのだろう。ボールを身体の真後ろに隠してビュンとそのまま前へ持ってくる。よく解説者が故障を心配するフォームだ。タイミング取りづらいなんてもんじゃない。僕はうまくしたら今年、ローテに食い込むんじゃないかと思っていたが、ちょっとピッチングが小さかったかな。委細構わずグイグイ行く感じがもっと欲しかった。

 で、この日はかなりグイグイだった。格上感のある阪神打線をしっかり抑え込んだ。僕は6回、7回と、よし、ここで継投だなと思ったんだけど、全部ハズレ。田中監督はハナから完投させるつもりだった気がする。「お前は2軍の投手じゃない。9回をトータルで考えてでっかいピッチングをしろ」というメッセージだ。

阪神打線をしっかり抑え込んだ吉田侑樹 ©えのきどいちろう

 吉田をさっぱり打てないと見るや、近くの阪神ファンは「よし、小宮山応援しよ。たぶん生で見るの最後や。♪虎の扇の要、炎を巻き上げ、燃える一撃を叩き込め小宮山、かっ飛ばせ小宮山〜」と歌いだした。僕は阪神ファンのこういう熱いような、ディスッてるだけのような味わいが嫌いじゃない。

 ファイターズ打線は森本龍弥のホームランで先制、高濱祐仁のホームランで追加点という一発攻勢。のみならず郡拓也の2ベース、平沼翔太の3ベースも見たし、渡邉諒のクリーンヒット(メンデスから!)も見た。最高なのはレフトスタンドのハム応援だ。最初は芝生にレジャーシートを敷いて、お父さんがたった一人で「かっ飛ばせかっ飛ばせひーらぬま!」とやっていた。近くの阪神ファンも「日ハム、一人応援団やで」と笑っていた。が、2回くらいから小学生の息子さんが加わり、二人で「頑張れ頑張れたーかはま!」とやりだしたのだ。近くの阪神ファンも「最高の夏休みやな」と評価していた。

 が、もちろん阪神応援隊も負けていない。7回終わって散発6安打0点に抑え込まれていたのだ。8回裏、頭からヤケクソ気味にチャンステーマを始めた。走者なんかいなくていい。球場は阪神ファンメインだ。ここまでまったく盛り上がる場面がなかった。場内が意味不明にヒートアップしていく。と、2死走者なしで高山がレフトへソロホームランだ。火のないところに煙を立ててしまった。これはお見事だ。

 で、気を良くしたらしくて9回裏はいきなりチャンスわっしょいから始めた。が、同じ手は食わないよ。吉田7被安打1失点完投勝ち! 中身があった。上で使いたいなぁ。阪神ファンとは帰りの東三条駅の待合室でも話し込んだりして、おかげですごく楽しかった。ありがとう。お互い1軍はきついけど、前向きに行きましょう。健闘を祈ります。

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