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舌の汚れは「歯磨きだけで落とせない」

 食事のあとの歯磨きを習慣にしている人は増えている。これはとてもいいことなのだが、歯磨きだけでは舌苔は落とせない、と小川教授は指摘する。

「歯を磨くついでに歯ブラシで舌の表面を擦る人がいますが、これは舌の清掃にはあまり効果はありません。歯ブラシは歯という“硬いもの”の表面の汚れを落とすことを想定して作られていて、舌のように“柔らかいもの”を対象としてはいないのです。実際にやってみるとわかりますが、歯ブラシで舌の上を擦っても、汚れを落とした、という実感は得られないはず」

 そこで登場するのが“舌ブラシ”という舌専用のグッズだ。ドラッグストアに行くと色々な形状の舌ブラシが並んでいるので、どれがいいのか迷うかもしれない。

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「どれを選ぶかは人それぞれです。口の大きさ、舌の形状などによって向き不向きがあるので、使ってみて『これは合わない』と思ったら違うタイプのブラシに変えてみるしかない」

©︎iStock.com

 それより問題は使い方だ。

 歯ブラシは歯の表面にブラシを当てて上下左右に毛先を動かすことで汚れを落とすが、舌ブラシは違う。「奥から手前へ」の一方向で汚れを掻き出すように動かす。そんなこと当たり前だと思うかもしれないが、小川教授によると、舌ブラシを舌の上に当てて掻き回すだけで、汚れを舌の上に残したままの人が意外に多いというのだ。

「舌苔」は舌の先端より“奥”に付着している

 もう一つ、注意したいのが清掃する個所だ。

 口臭の原因となる舌苔が多く付着するのは、舌の先端よりは中央から奥(喉側)にかけて。したがって、なるべく奥のほうから掻き出したいところだが、嘔吐反射が強い人などはすぐに「オエッ」となり、涙目になってしまう。

 そんな人に向けて小川教授はこうアドバイスする。

「多くの人は、まず歯を磨いてから舌の清掃に取り掛かるのですが、これは順序が逆です。先に舌をキレイにしてから歯を磨く――。特に嘔吐反射の強い人は、この順序を意識してほしい」

 その理由はこうだ。

 歯磨き剤には“爽快感”を際立たせる成分が含まれているが、歯を磨いた後はたとえ口をゆすいでもその成分が舌の上に残っている。それが刺激となって嘔吐反射を強めてしまうのだ。

左が「舌苔」で、右が「正常舌」 小川医師提供写真

「やや下を向いて顎を引くようにしてから、舌を『エーッ』と思いっきり出して、ブラシで擦る瞬間は息を止めて掻き出す。これを歯磨きの前にやるだけで、だいぶラクに舌をキレイにすることができます」

 試してみてほしい。