気にする人はどこまでも気にするのに、気にしない人はまったく気にしない「口臭」。
しかし、これまでは気にしなかった人でも、コロナ禍でマスクをするようになり、ようやく自分の口の臭いに気付いた人も少なくないようです。
今回は、医学的に正しい口臭予防について、専門家に解説してもらいました。
腐った卵、腐ったタマネギ、生ごみ……口臭の原因とは
「口臭の原因となる物質は、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドの3つ。これらをひとまとめにして“揮発性硫黄化合物”と呼びます」
と語るのは、新潟大学大学院教授で同大医歯学総合病院予防歯科診療室長の小川祐司歯科医師。
硫化水素は、硫黄に含まれる“腐った卵”の臭いの大本。メチルメルカプタンは、池や沼などで発生する“腐ったタマネギ”の臭いを放つガス。そしてジメチルサルファイドは、“生ごみ”の臭いに似た有機硫黄化合物。
腐った卵と腐ったタマネギと生ごみの臭いをブレンドして口臭はつくられていた――と知れば、ちょっと真剣にオーラルケアに取り組もう、という気にもなるだろう。
口の中でそんな強烈な臭いを発生させる最大の原因は「舌苔(ぜったい)」だ。
舌苔とは食べかすなどが舌の表面にこびりついてできる堆積物。早い話が“垢”だ。
「口臭を自覚する人のおよそ8割が、主として舌苔に起因する口臭。この場合は話は簡単で、舌苔を取り除くことで口臭を消すことができます」(小川教授、以下同)
小川医師の担当する「口臭外来」では、患者の呼気をガスクロマトグラフィーという分析機にかけて成分を解析する。歯周病が進行するとジメチルサルファイドの構成比率が高まる傾向があるが、口臭の強弱と成分比率の差はあまりない。しかし、口臭の強い人は舌苔の量も多い――という相関関係は見られるという。舌苔は除去しておいて損はなさそうだ。