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【広島】助っ人の家族を支える「編成部国際業務課」のお仕事

文春野球コラム ペナントレース2017

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助っ人外国人家族への細かなサポート

「基本的にはご家族がしたいことや、困ったことがあれば何でも対応します。家族でいける美味しいレストランを探したり、病気になれば病院に付き添うこともあります。旅行に行く時は全ての手配、ご家族が来日されれば東京へ迎えに行きますね。一昨年カープにいたザガースキーの奥様は日本で出産したのですが、一緒に産婦人科に通い出産にも立ち会うという素晴らしい経験もしました。去年いたプライディの奥様も妊娠されていて、お腹のお子さんが男の子だということを病院で一緒に聞いたのもいい思い出ですね。」

 不安もあるこの異国の地で、24時間常に親身になってサポートしてくれる有吉さんの存在はとてつもなく大きい。さらにそれだけではない。有吉さんは助っ人のご家族を幸せにするお手伝いもされているのだ。

「ご家族が父の日にエルドレッドにプレゼントをしたい、とのことで一緒に探したことがありました。今でもプレゼントのナンバー『55』が入ったベルトを、エルドレッドがつけてくれているのを見ると私まで嬉しくなってしまいます。今年の父の日も一緒に試合を観戦しました。お子さんがエルドレッドのようにアゴにヒゲを描いてパパを応援してましたね(笑)」

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 もはや家族である。有吉さんのお人柄もあるのだろうが、ご家族が全幅の信頼を寄せていることが窺える。そんな有吉さんには宝物がある。

来日6年目のエルドレッド ©文藝春秋

「たしかトレーシーの娘さんだったと思うのですが、手作りのブレスレットをプレゼントしてもらいました。あれは嬉しかったですね。あと一年の終わりにみなさんからサンキューカード(今年一年ありがとう、みたいなものが書いてあるカード)をもらうのですが、全部大事にとってあります」

 今でも母国へ帰った助っ人の皆様の近況をSNSでみたり、連絡をとったりするという有吉さん。助っ人のお子様の成長を我が子のように見守っているとのこと。有吉さんはご自身のお仕事をこう語る。

「ご家族には常に平和で幸せな気持ちでいて欲しいんです。そして少しでも日本を、広島を好きになってくれたら、って。いつか母国へ帰った後もまた広島に行きたいと思ってもらえるよう、いい思い出を作りたいですね」

 他球団では通訳の方が全てを担っており、「家族を専門にサポートする」担当がいると聞いたことは無いという有吉さん。昔からカープに存在するこの独自のシステムこそ広島カープという球団の、助っ人外国人に対する「誠意」であり「愛情」なのである。この球団の想いが、助っ人外国人の活躍できる環境を作っているのだ。「カープの助っ人外国人はよく当たる」のは偶然ではなく必然であった。

 いつかカープで出会った助っ人のご家族に会いに行くのが夢、と語る有吉さん。助っ人の家族は間違いなく、大きな喜びとともに手厚く有吉さんを迎える事だろう。まるで本当の家族が帰ってきたように。

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/3934でHITボタンを押してください。

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