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ファイターズにお願い! “ウポポイユニフォーム”残しませんか?

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/09/19
note

「ウポポイ開業記念」だけで終わらせてほしくない

 ウポポイユニフォームもそうだと思ったのです。遠くからは白い地と区別のつきにくい、だけど間近では一目瞭然の、薄いグレーに細い白線で描かれたモレウ。これはスタジアムの観客やテレビの視聴者に見せるためというよりも、このユニフォームを着る選手達のためのものなんだと。

 あ、さっきから何の説明もなしにウポポイユニフォームと書いてしまっておりますが、このウポポイというのは「(おおぜいで)歌うこと」を意味するアイヌ語で、白老町に今年できた施設「民族共生象徴空間」の愛称です。つまりここの開業を記念してのユニフォームデザインだった訳ですね。かつて北海道新幹線開通の年に車体の色と同じグリーンのユニフォームになったのと同様です。ただ、同じく開業記念とはいっても、全国各地を走っている新幹線が北海道にもというのと、ただ1つ北海道にしかないアイヌ文化の施設とでは、それぞれが持つ「北海道らしさ」の意味合いもまるで違ってまいりましょう。

 と思っていたら先日15日の試合ではHTBの放送席にいたガンちゃんこと岩本勉もこのユニフォームを絶賛して、将来的に通常のユニフォームとして採用してほしいというようなことまで言っていました。そこまではいかずとも、毎年新しくしていたイベントユニフォームをこれに固定してもいいのではなどと夢想しております。

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 限定ユニフォームも普段のホーム用の延長線上で左右非対称のデザインは変わりませんが、色の違いでそれぞれ大きく印象は異なります。白がベースになったのは今年が初めて。華やかな色は1つも使われていませんが、歴代「WE LOVE HOKKAIDO」ベストデザインだと勝手に思ってます。「北海道スカイブルー」とか「新時代緑(ニューグリーン)」とか、もちろんみんな格好よかったんですけれども、なぜその色かという説明は、身も蓋もないことを言ってしまえば理屈と膏薬はどこにでもつくという感じのものでもありました。大地に恵みを与える太陽と道民の燃える精神で「バーニングレッド」、とかね。でも今年は単純明快です。

 北海道だから。それ以上は蛇足です。

 そして、だからこそ、「ウポポイ開業記念」だけで終わらせてほしくないとも思うんです。

 しかもこれ、着用時の成績がいいんですよね。どんなデザインでも負け試合の記憶ばかりだともう二度と見たくないということになってしまいますが、9月18日現在これを着て臨んだ16試合の結果は10勝5敗1分、勝率6割7分で勝ち越し5つ。全体で見ればまだ3つも負け越しているのにです。必勝祈願の験担ぎで再登場したのも頷けるというもの。

 格好よくて、意義があって、縁起もいい。ファイターズフロントの皆様、お願いします! ウポポイユニフォーム、どうか残してはいただけませんか。

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