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日本人の「6人に1人が貧困」 “生活保護”をイメージで語る人が知らないこと

「コロナ禍で今月の生活が苦しい」という時に“読むべき漫画”がある

2020/09/23

生活保護の利用は恥じらうことではない

 生活保護制度は、働いている人でも健康な人でも、収入と資産が生活保護基準を下回っていれば利用できる制度である。生活保護基準は年齢や世帯人数、住んでいる地域などによっても異なるが、都内だと単身で生活費分と住宅費分を合わせて約12万円。その金額に収入が満たない場合には、足りない分の支給を受けることができる。

 生活保護制度は、収入減などで一時的に利用し、収入が生活保護基準を上回って必要なくなったら利用をやめるといったことも可能だし、自分には無関係という方でも、身近な人がこういった経済状況であったらぜひ紹介してほしい。

 
 
生活保護を申請すると、その人の資産や収入、申請にいたる経緯、健康状態、生活歴などを調査し、保護を開始するかどうかを決定して通知する。『健康で文化的な最低限度の生活』第3巻より ©柏木ハルコ / 小学館

 生活保護制度も貸付制度も、自分の必要に応じて、必要な範囲で利用してほしい。新型コロナウイルスの影響で多くの人が、生活に困っている。そんな状況での公的支援の利用は、恥じらったり、ためらったりすることではない。制度の詳細に関しては以下のページも参考にしていただきたい。

厚労省:生活を支えるための支援のご案内
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000622924.pdf

首相官邸:くらしとしごとの支援策
https://www.kantei.go.jp/jp/pages/coronavirus_shien.html

【新型コロナウイルス】いま知っておきたい「生活保護」(大西連) - Y!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/ohnishiren/20200317-00168160/

生活保護への偏見を漫画が解いてくれる

 とはいえ、生活保護に対しては制度に対する様々な偏見がある。ネットやSNSなどで「生活保護」と検索すると、利用者へのひどいバッシングや、真偽がわからない風評ばかりを目にしてしまうだろう。

 その結果、生活保護制度を利用しないほうがいいと思ったり、周囲の人には絶対に知られたくないといった理由で、制度を利用できるほどの困窮状態に陥ってるのに申請をしない人が数多くいる。

 生活保護という制度について知らない人はほとんどいない一方で、制度が実際はどのように運用されているか、その現場がどのようなものか、正しく知って理解している人は決して多くはない。残念ながら、いろいろな「イメージ」で語られてしまう制度なのだ。

 では、その「真の姿」について知りたいと思った時にどうすれば良いのだろうか。生活保護について書かれた本はたくさんあるものの、学術的な本が多く、ハードルを感じてしまう人も多いと思う。そんな時に筆者がオススメしたい漫画が『健康で文化的な最低限度の生活』(柏木ハルコ・著/「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)である。

 この作品は、これまで生活保護についてまったく知らなかった主人公の新人公務員・義経えみるの目線を通して、生活保護について知ることができる。

 
 
新卒公務員として東区役所で働き始めた義経えみるが配属されたのは、生活保護を担当する福祉事務所だった。ケースワーカーとして知識ゼロのところから利用者と向き合うことで、次第に成長していく。綿密な取材と圧倒的な漫画力で「日本の今」を描き出す、骨太な本格社会派漫画。『健康で文化的な最低限度の生活』第1巻より ©柏木ハルコ / 小学館