貸付制度の申請者はリーマンショック時の80倍
休業補償や持続化給付金などの仕事の減少や休業にともなう支援以外にも、生活保護制度をはじめ、住居確保給付金、緊急小口資金貸付や総合支援資金貸付などの生活を支援するための施策が、セーフティネットとして整備されている。新型コロナウイルスの影響を鑑みて、要件を緩和する特例措置がとられるなど、現在その利用の促進が行われている。
返済不要の住居確保給付金は、収入減などにより生活が苦しくなった人へ家賃支援を行うものだが、4月~6月で、全国での申請件数が81,572件(決定件数61,589件)となり、支給済額は約44億円にのぼった。都内だけでも申請件数26,341件(決定件数19,294件)、支給済額は約18億円と過去最多の支給実績を記録している(厚労省「住まい支援の連携強化のための連絡協議会」第1回資料より)。
また、緊急小口資金貸付と総合支援資金貸付は、利用者が激増し、7月25日時点で緊急小口資金貸付の申請件数は 63.8 万件(決定件数62.8 万件、貸付済額1,132.6 億円)、総合支援資金貸付の申請件数 24.7 万件(決定件数21.1 万件、貸付済額1,099億円)に及ぶ(貸付実務をになう全国社会福祉協議会HPより)。
共同通信の報道によれば、これらの貸付制度を申請した人はリーマンショック時の80倍という前代未聞の膨大な数にのぼっているという。償還時に生活再建がなされていない場合などは免除されるといった規定はあるが、60万人以上の人が生活苦からお金を借りる選択(公的な貸付ではあるが)をしたことになる。
1か月分の生活費が厳しいなら生活保護を
緊急小口資金貸付は基本1か月分で最大20万円、総合支援資金貸付は原則3か月分で最大月20万円の生活資金の貸付で、現在、総合支援資金貸付に関しては3か月の貸付期間の延長が決まっており、それらを利用すると最大7か月分の生活資金を「借りる」ことができる。
もちろん、その期間に生活再建が順調に進めばいいが、うまくいかない場合は100万円以上の借金を背負う可能性があるのだ。また、生活再建がなされたとしても、1年以内に返済を開始し、2年以内に24回以内で返済しなければならない。
最長9か月間の延長ができる住居確保給付金の給付は、4月から開始した人の場合、来年2021年の1月には終了してしまう。借りていた貸付の返済も始まってくると、生活が追い詰められる人が相当数現れるのは間違いないと思われる。
そして、その中で生活保護に繋がる以外の方法では暮らしていけなくなる人が現れることが残念ながら想定されるが、もし1か月分の生活費をまかなうことが難しそうだという状況になったら、遠慮なく生活保護を申請すればよいと筆者は考えている。