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「いつまで持つかわからない…」コロナ禍の風俗店で働く女性が吐露した“痛ましい本音”

なぜ彼女たちは涙を流すのか

2020/09/21

genre : ライフ, 社会

孤立すればするほど“稼げる”仕組み

 風俗の仕事は、言うなれば「孤立すればするほど、稼げる仕事」である。本名とは異なる源氏名を名乗り、その時間、その場所だけの匿名の存在になるからこそ、素の自分を切り離して接客をすることができる。知らない街への出稼ぎを含め、これまでの人間関係やしがらみを断ち切れば断ち切るほど、稼ぐことができる。誰ともつながらないゆえに、誰からも存在に気づかれないゆえに、稼ぐことができる。

 その一方で、誰ともつながらない、存在に気づかれないということは、誰からも助けてもらえないということも意味する。

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 風俗で働く女性たちは、性暴力被害に遭った場合に「自己責任」「自業自得」という言葉でバッシングを受けがちだが、自己責任論を最も内面化しているのは、他でもない彼女たち自身である。「自分が悪いから仕方がない」「自分が一生懸命頑張れば、それだけで問題は解決できるはず」「自分の力だけでなんとかしなくてはいけない」という言葉を、日々自分自身に言い聞かせている女性も少なくない。

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これ以上、もう一人では頑張れない

「精神疾患があり、障害者雇用枠で働き始めたが、それだけでは十分な収入を稼げないため、風俗で働くことを選んだ。しかしコロナの影響で、風俗でも思うように稼げない。悔しくて情けない。障害者雇用には戻りたくないが、どうすればいいか分からない」

「パートやアルバイトの収入だけでは生活を維持できないために、夫には秘密で風俗の仕事を始めた。しかし、コロナの影響でお店が休業になり、収入が途絶えてしまった。毎朝、仕事に出ていくふりをしているが、いつまで持つか分からない。貯金も底をつきそう」

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「親との関係が悪く、必要な書類を揃えられないので、コロナ関連の給付金や制度を利用できない。生活保護については、親に連絡が行くので絶対に申請したくない。出稼ぎで何とか稼ごうと思って頑張ったけれど、出稼ぎ先で所持金が尽きてしまった」

 自分だけの力=自助だけでなんとかしたいが、これ以上、もう一人では頑張れない――。

 こうした状況に追い込まれた女性たちが、相談窓口にたどり着く。「自分が悪いから仕方がない」「自分が一生懸命頑張れば、それだけで問題は解決できるはず」という思いを捨てきれないまま、スマホの向こう側にいる相談員に、現在の気持ちや悩みを吐露するのだ。