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ビルのない新宿、未舗装の表参道…1950年代の“東京五輪前夜”を撮した17枚のカラー写真《山手線西側編》

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1950年代の中目黒 日比谷線が通る前

中目黒駅周辺(目黒区)1956年7月28日 ©J・ウォーリー・ヒギンズ

 この写真は1964年に日比谷線が通る前の東横線の中目黒駅だ。目黒川と現在の山手通りをまたぐように線路が高架になっている。当時の山手通りは今に比べるとかなり幅が狭かった。東横線の建設中だった1926年から27年頃には、すでにこの通りはここにあったようだ。だから線路を建設するときに目黒川とこの通りの上を通したのだろうと思う。この写真はホームの端に立って、渋谷方面に向かってシャッターを切ったものだ。

1960年代の三軒茶屋 “イモムシ”が走る町並み

三軒茶屋交差点(世田谷区)1964年2月16日 ©J・ウォーリー・ヒギンズ

 この写真は「イモムシ」と呼ばれる独特な形の玉電を撮りに、三軒茶屋まで行って撮ったものだ。イモムシだけを写真に収めるつもりだったが、シャッターを切る瞬間に手前の車が画面の中に入り込んでしまった。一瞬の出来事だったので、手を止めることもできなかった。しかし、この車のおかげで、後年この写真は『昭和30年代乗物のある風景』という写真集に採用されることになった。人生、何が幸いするかわからないものだ。

1960年代の代官山 生活の中を電車が走る

代官山(渋谷区)1960年10月30日 ©J・ウォーリー・ヒギンズ

 子どもたちの生活の中に電車がある。こうやって電車が通り過ぎるのを飽きずに眺められるのは、子どもも僕も一緒だ。昔は、電車に乗ると、子どもたちは飽きずに車窓から外を眺めていたけれど、今は携帯がないと時間がつぶせない小さな子も多い。電車に乗っていると、人々の生活が垣間見られる。

秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本 (光文社新書)

J・ウォーリー・ヒギンズ

光文社

2018年10月16日 発売

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その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

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