最後まで混戦模様が続くパ・リーグ
それでは8月の総評です。まずはパ・リーグから。
7月20日に首位に立った千葉ロッテ・梶原紀章さんが、2位に5000HIT差をつけて快走しています。首位固めの推進剤となったのは、6月に引退を発表した「井口資仁」コラム。8月7日に発表した「次世代に伝えたい井口資仁のオンとオフの切り替えの早さ」以降、9月中旬まで怒涛の井口コラムで逃げ切りを図りますが、8月は「二刀流じゃない方の大谷」「クワガタと松永」に前述の井口とあわせ3本すべて800HIT越え。松永コラムなど、甲虫類で泣かせてくれるのはaikoと梶原さんぐらいのものだと唸らされました。
2位は北海道日本ハム・えのきどいちろうさんがついに上がってきました。8月4日「谷元圭介はこれからもずっと僕の誇りだ」は今シーズン全体を見ても屈指の名コラム。風景描写と心象描写を織り交ぜたこれぞ正調えのきど節。首位と5000HIT差は決して容易な数字ではありませんが、えのきどさんの言葉を借りれば「職員室に一緒に怒られに行ってくれる友達」であるロッテとの「日ロ戦争」、はたまた文春野球では天王山決戦となる「天保山決戦」の奇縁を噛みしめながら両者の対決をお楽しみください。
3位は東北楽天・かみじょうたけしさん。先月より順位をひとつ落としてしまいました。8月の登板は共通テーマ“高校野球”での「元済美・安樂智大が考えた“高校野球クイズ”がマニアック過ぎる」の1本のみで終了。やはり8月は高校野球の取材や収録で各所からひっぱりだことなり、思うように登板ができなかったようです。しかし前述の安樂コラムは1000HIT越え。2位との差は約1000HIT。かみじょうさんの爆発力を考えれば、2位そして1位もまだ狙える位置にいます。最後の追い込みに期待です。
4位はオリックスのDOMIさん。シーズン前半のパ・リーグを引っ張り続けてきた疲れか、中盤に登板間隔が空いてしまいましたが、最後の2日間で2本を上げる追い込みを見せ、意地で月4本を達成しました。13日の共通テーマ“高校野球”「レパートリーは100曲超 大阪桐蔭・吹奏楽部の魅力」は、ミュージシャンが高校吹奏楽部を取材するという超力作。またまた新しい境地を開拓してくれました。シーズン当初からしのぎを削りあった楽天かみじょうさんとのCS枠を巡る最終決戦にも注目です。
5位は埼玉西武・中川充四郎さん。8月は3試合の登板でした。7月に爆発した炎の13連勝における辻監督の捕手起用法「炭谷か岡田か 秋元バッテリーコーチに聞いた『捕手の起用法』」のほか、秋山幸二の伝説の日本シリーズバック宙に、カリメロと呼ばれていた頃の工藤公康と玉屋デパートに紺のズボンを買いに行った話など、今月も充四郎さんならではの貴重なお話をいただきました。
6位は福岡ソフトバンクの松中みなみさんです。「8月から気持ちを入れ替えて頑張ります!」との宣言通り、今月は4試合に登板とかなり頑張っていただきました。28日はかみじょうたけしさんとのパ・リーグ首位決戦対談。31日には代打・ブルーリバーの川原豪介さんを起用してと、持ち得るあらゆる手段を講じて戦い、個人的に月間での最多HIT数を記録。順位争いだけがコラムペナントではありません。松中さんらしい戦いが最後までできるように文春野球一同エールを送ります。9月になってまた忘れてるっぽいですが。
首位以外は逆転のチャンスありのセ・リーグ
続いてセ・リーグです。首位は独走プロ野球死亡遊戯さん。8月も4本のコラムがアベレージで1500HITオーバーと他を圧倒。周囲に誰もいない無人の野での孤独な戦いでも、書くものに妥協せず、本数のペースも一向に緩めない。ウサギと亀の昔話が塗り替えられてしまいそうなウサギ猛ダッシュぶりで、1年の最後の仕上げに掛かります。ポストシーズンでの打倒死亡遊戯に向け、パ・リーグも含めた各球団がどんな対策を練ってくるかも楽しみです。
2位は横浜DeNAの西澤千央さんです。8月3日に「背番号5・倉本寿彦に、いま、会いにゆきます」で明後日の方角へ向かったと思ったら、そのまま行方不明になってしまいました。間もなく発見される見込みです。
そうこうしているうちに猛追してきたのが3位東京ヤクルトの長谷川晶一さん。一時は離されるものの8月登板は3試合。圧巻は22日の真中監督辞任報道を受け、予定の記事を先送りにして書いていただいた「真中満監督が退任発表前にくれたメッセージ」は反響を呼びました。残りの2本は「武内晋一」、「飯原誉士」の背番号8・9“不安コンビ”コラムで脇を固め、9月12日現在では2位まで400HIT差に詰め寄ってきました。CS本拠地開催を巡っての戦いは注目です。本拠地のメリットはまだ未定ですが。
4位は阪神・山田隆道さん。今月もキッチリ4本を収める金曜日の虎。「中谷将大」「伊藤隼太、代打の神様問題」「メッセンジャーがいない夏問題」「藤浪晋太郎休ませるべき問題」など、今月も鋭い論評を展開してくれています。CS出場まで4500HIT差。逆転できない数字ではありません。
そして、セ・リーグで最も激しい戦いとなっているのが5位6位の争い。5位は中日ドラゴンズ・竹内茂喜さん。一時は広島・大井智保子さんに逆転されましたが、代打に大山くまおさん、チャッピー加藤さんなどを投入する見事な攻めダルマぶりで再逆転。7月頭から連投しながら着実にHIT数を伸ばしてきました。9月になっても連投の勢いは止まらず、このまま最後まで突っ走る勢いです。
一方の6位広島・大井さん。8月は代打にザ・ギース尾関高文さんを起用するも登板は2試合どまり。1試合平均のHIT数は高いだけに、今シーズン課題とされてきた登板数を最後の1カ月でどれだけ伸ばせるかが、最下位脱出のカギとなりそうです。