きょう9月19日は、アニメーション監督・細田守の50歳の誕生日である。アニメが日本を代表する文化に位置づけられて久しいが、新作が発表されるたびに注目され、興行的にも成功を収めている監督はけっして多くはない。細田はその数少ない監督のひとりである。
富山県出身の細田は、小学6年生だった1979(昭和54)年、『銀河鉄道999(THE GALAXY EXPRESS 999)』(りんたろう監督)と『ルパン三世 カリオストロの城』(宮崎駿監督)を観て感銘を受け、卒業文集に「将来はアニメの映画監督になりたい」と書いたという。中学時代にはアニメを自主制作し、高校に入ってそれを東映動画(現・東映アニメーション)主催のコンテストに応募、ベストに選出されている。金沢美術工芸大学を卒業後は、その東映動画に入社した。なお、これと前後して、スタジオジブリの入社試験も受けて不合格になるも、宮崎駿監督から「君のような人間を入れると、かえって君の才能を削ぐと考えて、入れるのをやめた」という趣旨の手紙をもらったとの逸話がある(氷川竜介『細田守の世界 希望と奇跡を生むアニメーション』祥伝社)。
初監督作品は、東映時代の1999(平成11)年に手がけた『劇場版デジモンアドベンチャー』。05年、『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』を監督したあと、フリーランスの演出家として独立する。以後、『時をかける少女』(06年)、『サマーウォーズ』(09年)、『おおかみこどもの雨と雪』(12年)、『バケモノの子』(15年)をあいついで発表、ヒット作となった。この間、11年にはプロデューサーの齋藤優一郎らと「スタジオ地図」を設立している。
『サマーウォーズ』以後の3作はすべてオリジナルだ。このうち『おおかみこどもの雨と雪』と『バケモノの子』では、子育てがテーマとなっている。ちょうど細田自身、両作品のあいだの時期に子供を儲け、「現代において子供は誰が育てるのか、どうやって大きくなっていくのか」と考えるようになったという(日経エンタテインメント!編『細田守とスタジオ地図の仕事』日経BP社)。
細田は独立して以来、3年おきに作品を発表してきた。スタジオ地図では現在、『バケモノの子』から3年が経つ来年に向け、新作の制作が進められているという。