11月11日、秋の叙勲の大綬章親授式が、皇居・宮殿「松の間」で行われた。9人の受章者の中にあったのが元沖縄県知事の仲井真弘多氏の姿だ。
御年81歳の同氏も、さすがに緊張の面持ちで、最高の栄誉とされる旭日大綬章を天皇陛下から賜った。
我が世の春――。まさにそんな瞬間であった。
しかし地元沖縄では、のぼせ上がってばかりはいられない事態となっている。仲井真氏は目下、巨額の連帯保証債務履行請求訴訟の被告人として係争中なのである。
総額で1億円を超える“ケタ違い”の借金
同訴訟の原告は国場啓子氏。沖縄に本社を置くゼネコン・國場組元会長で、昨年4月に亡くなった国場幸一郎氏の妻である。
その啓子氏が明かす。
「1997年8月に、夫が仲井真氏の妻、嘉子氏に貸し付けた約1億1500万円のうち5772万円について、連帯保証人である仲井真氏に返済を求める訴訟を、昨年6月に那覇地裁に提起しました。
貸し付けの事実について私が知ったのは、2012年12月に夫が入院してしばらくして、國場組本社の会長室の私物を整理していたところ、机の中から嘉子氏直筆の、それぞれ9000万円と2544万円の借用証書と、仲井真氏の名前で押印された連帯保証書が出てきたためです。
その時から亡くなるまで、夫はずっと会話できない状態でしたが、こうした貸し借りについて『男の友情でやったことだから、催促するものではない』と言うだろうと思い、心のうちにしまっておいたんです」
しかし、いくら友情とはいえ、個人間融資で1億1500万円とは庶民感覚からするとケタ違いだ。
貸借が行われた1997年、仲井真氏は沖縄電力の社長の座にあった。一方、幸一郎氏は、國場組傘下の建設会社、株式会社国建の社長を務めていた。
ビジネス上の立場からいえば、仲井真氏は、建設会社に工事を発注する側の代表だったわけである。仲井真氏はこうした立場を利用して、幸一郎氏に巨額の借金を申し込んだ可能性はないのだろうか。
しかし、それについては啓子氏が否定する。
「それはないと思います。夫は仲井真氏の7歳年上で、先輩後輩の関係。むしろ夫に頭が上がらなかったのは仲井真氏のほうだと思います。ただ、夫は仲井真氏を弟のように可愛がり、彼の3度の県知事選にも全面協力していました。これは後から知った話ですが、当時、嘉子氏名義の東京の邸宅が差押えになるとかで、急いでまとまったお金が必要だったらしいのです。夫は、身内が困っていたら身を削ってでも助ける人でしたので…」