「係争中の民事裁判」が有りながらの叙勲は適切?
これは啓子氏による感情論だけではない。仲井真氏を叙勲候補者として推薦した経産省のホームページには、「係争中の民事裁判が有る場合」は推薦できない場合があるとする留意事項が明記されているのだ。
ところが、11月14日付けの琉球新報によると、経産省は仲井真氏が民事訴訟の被告となっている事実を把握せずに推薦していたという。
また、加藤官房長官は11月16日午後の定例記者会見で、同報道に関する朝日新聞記者からの質問に答える形で、
「民事訴訟係争中であることのみをもって、ただちに叙勲の候補者から除外するような画一的な運用は行っていない」、「沖縄電力社長などとしての電気事業功労や、沖縄県知事としての地方自治功労など幅広い分野での功労を総合的に評価した」などと述べている。
しかし、沖縄県政関係者はこう明かす。
「叙勲は、『普天間の県外移設』の公約をひるがえして、政府の辺野古埋め立て申請を承認したことへの論功行賞ですよ。安倍政権時代に受章させるのは露骨なので、『次期政権で』という話だった。仲井真氏は、受章直後の18日には叙勲の礼を言うためにわざわざ上京して菅首相に会っています。
昨年11月に自民党沖縄県連の最高顧問に就任した仲井真氏は、今年6月の県議会選を仕切って自民党の議席を13から17に躍進させた。自民党側からしても、仲井真氏にまだまだ働いてもらおうということなんでしょう」
借金問題について本人に質そうと携帯電話を何度も鳴らしてみたが、出ることはななかった。自民党沖縄県連を通じた質問書にも期日までに返答はなかった。
ちなみに仲井真氏が幸一郎氏に渡した連帯保証書には、こう記されてある。
「(返済に)小生の将来の退職金も引き当てますので、ご了承くださいますよう重ねてお願いいたします」
沖縄県知事を2期、それ以前には沖縄電力の社長職と会長職も務めた仲井真氏が、これまで受け取った退職金はゆうに1億円は超えているはずである。
「普天間県外移設」の公約を撤回した仲井真氏は、亡き友人と交わした約束も反故にするというのだろうか。