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「テレビも呼ばれる限りは出たいけど、なんか無理にNGとか無しで『がんばろう!』みたいなのはない」(『あちこちオードリー』テレビ東京系、2019年11月2日)

 そんな自由さは、男性芸人のセクハラめいた発言にツッコんだり、大御所にもいとわず鋭いツッコミを飛ばす姿からも垣間見える。世間のギャルのイメージにも重なっているだろう。

私たちがみちょぱに投影しているもの

 他方で、みちょぱには“献身”の姿勢も目立つ。VTRを見ながらずっとガヤを飛ばす姿や、ザキヤマに「ツッコミマシーン」と言わせる細かな働きぶりからもうかがえる。

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 共演機会の多い芸人たちからは、彼女の気配りへの言及も多い。ロッチの中岡創一は「(番組の中で)脇役の存在でいてくれる」と語り、アンガールズの田中卓志は「(自分は)抑えてその周りの誰かがハネてるんですよ」と評す(『アメトーーク!』2020年4月2日)。

©時事通信社

 そんな彼女の姿勢は、ギャルサー時代に培われた部分も少なくないのかもしれない。小学5年生のときにギャルに憧れ、中学2年生でギャルデビュー。3年生の夏には渋谷でギャルのイベントサークル・美舞羽凛(ひまわり)を結成し、その代表を務めた。そこで大人と一緒にイベントの運営に携わる中で、挨拶や敬語、「ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)」などを学んだという。

 みちょぱはかつてこう語っていた。

「ギャルの先輩とかと語ってて、ギャルってなんだろうねって話したときに、やっぱマインドだよねっていう」(『俺の持論』テレビ朝日系、2018年2月10日)

 自由と献身。一見相反しそうな2つのスタンスを、ギャルのマインドを持ったみちょぱは両立させる。自由が奔放を意味せず、献身が自己犠牲に堕すこともない。みちょぱに象徴されるそんな現在のギャル系タレントには、ある種の私たちの理想が投影されているのかもしれないし、多少皮肉めいた見方をすれば、自分を殺さず秩序も乱さない姿は見ていてストレスがかからないということかもしれない。

 いずれにしても、テレビに引っ張りだこな彼女はいま、世間にも“ハマって”いる。今後ますますその活躍が期待できるのではないだろうか。――とかなんとか言ってると、「え? なに勝手言ってんですか?」という彼女のツッコミが飛んでくるかもしれないけれど。