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なぜ“写真の会社”富士フイルムは「コロナワクチン」の製造受託でも圧倒的に強いのか

なぜ“写真の会社”富士フイルムは「コロナワクチン」の製造受託でも圧倒的に強いのか

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良い経営者は「スモールデータ」で判断ができる

「治療薬については、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が設立したビル&メリンダ・ゲイツ財団などが立ち上げた新型コロナ治療推進プロジェクトから治療薬候補の製造を受託しました。FDBのデンマーク拠点の生産能力の2~3割を数年にわたって予約していただいています」(同前)

 現在、富士フイルムのヘルスケア事業が売上に占める割合は全社の約4分の1にまで拡大し、かつて売上の3分の2を占めた写真関連事業は十数%の構成比となった。317ある連結子会社のうち、約3分の1がヘルスケア関連製品を扱っていることを考えると、いかにこの事業に投資してきたかが分かる。

7月にはトランプ氏が子会社を視察

 なぜ古森会長は、富士フイルムを「トータルヘルスケアカンパニー」にすることができたのか。その詳細は「文藝春秋」12月号に詳述するが、古森氏が語ったのは意外にも“勘”の重要性だった。

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「今の若い人はすぐに『どうやって成功したんですか?』とノウハウを知りたがりますね。いまはGAFA(Google, Amazon, Facebook, Apple)を始め、みな『ビッグデータが重要だ』と言うでしょう。でも、良い経営者とは、『ビッグデータ』ではなく『スモールデータ』で正しい判断ができる人だと思います。

 経営者に十分な情報が上がってくるのを待っていたら、手元の情報が古くなってしまうこともある。ですから、今ある情報をパッと見て、パッと判断をしなければ他社に先を越されてしまいます。自分の『頭』と『勘』が頼りです」

出典:文藝春秋12月号

「文藝春秋」12月号および「文藝春秋 電子版」掲載の「経営者は『直感』で勝負せよ」では、古森重隆会長が本業消失の危機に直面して、なぜヘルスケア事業に目を付けたのか、デジタル時代だからといってデジタル・カンパニーになる必要はないと考えた経緯、そして「会社の力」を構成する三つの要素などについて詳細に語っている。

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経営者は「直感」で勝負せよ
なぜ“写真の会社”富士フイルムは「コロナワクチン」の製造受託でも圧倒的に強いのか

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