新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が止まらない。全世界の感染者は4700万人、死者は120万人。特にアメリカでは感染者数が1000万人に迫り、死者は23万人を超えた。インド、ブラジルでも感染者は増加の一途をたどり、また、冬の訪れが近づくとともにフランス、スペイン、イギリスなどを中心に欧州では第二波が猛威を振るい、WHOの報道官は「集中治療室が埋まりつつある」と発言している。

 感染が拡大する中で注目を集めているのが「後遺症」だ。

新型コロナに感染したウイルス学者

 WHOのテドロス事務局長は、新型コロナウイルスの後遺症が体内のあらゆる器官に影響を及ぼし得ると会見で明らかにし、具体的に「疲労感、咳、息切れ、肺や心臓を含む主要臓器の炎症と損傷、神経系や心理面での影響」などを挙げた。

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 一方、日本では経済回復と感染抑制を同時に目指していることもあり、感染者数がなかなか減らないが、以前に比べ新型コロナウイルスへの警戒心が薄れているような空気もある。

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 新型コロナウイルスに感染するということはどういうことなのか。

 実際に感染し、幸運にも回復した世界的なウイルス学者ピーター・ピオット氏がその危険性を改めて警告する。

自分は感染しないと思っていた

「ひょっとして自分がCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)にかかったのではないかと疑ったのは3月19日です。喉も痛くなく、咳も出ませんでした。息切れをしたわけでもありません。私の体に起こった変化はひどい頭痛でした。

 まるでバスに追突されたような痛みで、少し熱が出ました。数日前から疲労を感じていましたが、朝から晩まで仕事をしていたせいだろうと思っていたのです。

 COVID-19の世界的な感染拡大がニュースになってからも私はかなりアクティブに動いていました。皮肉にもCOVID-19についてあちこちで話をしていましたし、ほとんど毎晩、誰かとディナーをとっていました。振り返ると、じゅうぶんな感染予防を心がけていたとはとてもいえません。ウイルス学者の自分は感染しないと高をくくっていたのです」