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「菅首相、聞こえてますかー?」

「このキャンペーンに賛同してくださった皆さま、本当にありがとうございました。裁判はまだまだ続きますが皆さんの力を頂き、これからも闘い続けます。私はこのキャンペーンで強くなりました。37万人以上の方の賛同が自信につながりました。強くなり、きょうは東京の首相官邸までやってきました。正しいことは正しいと声をあげます」

キャンペーンサイトの画像

 ここで雅子さんは官邸の方を振り返った。

「菅首相、聞こえてますかー?」

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 再びカメラに向き直り、コートの内側の服を示した。

「きょうは夫の(形見の)カーディガンを着てきました。

『私の夫、赤木俊夫がなぜ自死に追い込まれたのか。有識者によって構成される第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施してください』

 でも37万人以上の方が賛同してくださっても変わらない人たちがいます。菅首相、麻生財務大臣と財務省です。再調査どころか夫の残したファイルさえあるかないかも答えてくれません。裁判に関係ないとまで言ってきます。

 菅首相、麻生大臣、安倍前首相。夫の死にまじめに向き合ってください。夫のことを今からでも助けてください。

 きょうはご静聴ありがとうございました」

「ここから動いて」と歩道上から排除しようとする

 撮影中、警備中の警察官が何度も近寄ってきた。

「これは何の撮影ですか? テレビか何かですか? どこで出される予定ですか?」

 巡査部長→警部補→警部と、話しかけてくる警察官の階級が段々上がっていく。私たちが答えるたびにマイクを使ってどこかに報告している。上司に指示されているのだろう。しまいに「ここから動いて」と歩道上から排除しようとするので私は言った。

赤木雅子さんと撮影クルーに声をかける警備の警察官(筆者撮影)

「ここは公道ですから、通行の妨げにならない限り撮影は自由ですよね。ここから排除する権限はあるんですか? 質問に答える義務はあるんですか?」

 すると警察官は「いえいえ、あくまでご協力をお願いしています」と言葉は丁寧だが、態度は強硬だ。私は大阪日日新聞の名刺を渡し「何かありましたら私にご連絡ください。これは新聞社の取材ではありません。動画はいずれネット上で公開される予定です」と告げた。必要な映像は撮った。そろそろ潮時だ。

 動画を事前に見た方からは「少し強張った声の赤木さん、官邸前での現在進行形の感じがとても力強いです。光の感じもいいです」との評価を頂いている。ぜひご覧頂きたい。

赤木俊夫さんが遺した手記の一部(筆者撮影)

 そして受賞対象となったキャンペーンは、以下のサイトで今も続いている。

私の夫、赤木俊夫がなぜ自死に追い込まれたのか。有識者によって構成される第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施して下さい!
http://chng.it/yBNFhJG97G

 真実はどこにあるのか? 赤木雅子さんの願いを応援したいという方には、ぜひネット上で賛同の署名をお願いしたい。世論の力が世の中を動かす。37万の署名が50万、100万となっていった時、それでも菅首相は「再調査しない」と言えるだろうか?