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そこからどんどん日本文化の個性が建築へ反映されるように。1180年に焼失した大仏殿再建のために大陸から最新の構造技術を導入した「大仏様」や、13世紀以降盛んになる禅宗寺院建築に倣った「禅宗様」などだ。
さらに室町時代になると、畳を敷き詰めた部屋がふすまで区分けされ、床の間や棚も備えた「書院造」が確立される。当初は大きくて豪華なつくりだったのが、やがて簡略化され武家や町家にも広がり、現在にも連なる日本の典型的な住宅のかたちとなったのだ。
戦国時代以降は、日本独自の城郭様式も確立された。それらの実例も、会場に並ぶ《大仙院本堂》《慈照寺東求堂》《松本城天守》などの建築模型によって、その構造や内部空間の細部までとくと観察できる。
日本の建築の歴史を一堂に見渡せるというのは、壮観そのもの。建築様式の変遷とその要因も、すんなり吞み込める。そして何より、日本に生きる人たちがどんな暮らしを求め、どのようなかたちに美を見出してきたかが、よくよく理解できるのだった。