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国立博物館表慶館で振り返る建築史 日本人が愛した「暮らし」と「かたち」

国立博物館表慶館で振り返る建築史 日本人が愛した「暮らし」と「かたち」

アート・ジャーナル

2021/01/16
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日本の建築の歴史を一挙に観る

 展示されているのは、文化財建造物修理事業の一環で制作された建築模型。形態や技法、空間構成などを検討するため作られたものなので、細部に至るまで極めて精巧にして正確である。

《松本城天守 1/20模型》

 サイズは主に10分の1で、かなりの迫力。近づいて眺めれば、その場に立っているような臨場感が味わえる。きっちり再現された内部を目で辿っていくと、本当にその場を訪問している気分にも浸れる。

 日本で技術を伴う建築が築かれるようになったのは、縄文時代のこと。穴を掘り、その周囲に屋根をかぶせた「竪穴式建造物」や、掘立柱を用いる「掘立柱建造物」が盛んに建てられた。

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 仏教が伝来した6世紀以降は、木造寺院を建てるために技術力が格段に上がる。その作例として、展示では《法隆寺五重塔》《唐招提寺金堂》《正倉院正倉》などが観られる。

《法隆寺五重塔 1/10模型》

 平安時代になると、貴族の住宅として「寝殿造」が生まれた。古来の様式と外来の寺院建築様式が混ざり合い、「和様」という独特のスタイルも形成されていく。