全日本プロレスで活躍する兄・斉藤ジュンと弟・斉藤レイによる双子ユニット“斉藤ブラザーズ”を知っているだろうか?
ともに身長190cm超、合計体重約250kgの圧倒的なフィジカルを武器に、2021年のデビュー直後から頭角を現し、世界タッグ王座戴冠、プロレス大賞新人賞・最優秀タッグ賞受賞などマット界を席巻。兄・ジュンは、昨年12月、全日本プロレスの至宝、三冠ヘビー級王座を奪取し、現在も防衛中だ。
“斉藤ブラザーズ”は力士廃業後、30歳を過ぎてからプロレスに転向した。故・ジャンボ鶴田氏は、「人生はチャレンジだ、前のめりになって倒れたい」と語っていたが、2人の足跡はまさに全日本プロレスの大先輩の言葉を体現する人生だろう。
史上最強の双子プロレスラー“斉藤ブラザーズ”。プロレスラーとして成し遂げたいことを聞いた。DOOM!(全3回の3回目/最初から読む)
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「双子でハーフで元力士。プロレスに向いていると思ったんです」
――レイ選手から「プロレスをやろう」と誘われるもジュン選手は断り続けます。どれくらい経って、ジュン選手は折れたのですか?
ジュン おそらく4~5か月後くらいですね(笑)。その間は、顔を合わすたびに、「プロレスやろう」です。今でも覚えていますけど、沖縄に伊江島という離島があるんですけど、そこでサトウキビの収穫などをする住み込みの仕事をしていたときも、やっぱり毎日聞いてくる。サトウキビの収穫しながら、「分かった。やるよ」って俺が折れました。
レイ 正直言うと、自信があったんです。運動能力的なことだけではなくて、双子でハーフで元力士。プロレスに向いていると思ったんです。もちろん、練習は厳しい。だけど、俺とジュンだったら一花咲かせることができるって。
――とはいえ、年齢は30歳を超え、アマレスで実績があるわけでもない。入門テストを受けるにしても門は狭そうです。
レイ プロレス団体によってスタイルの違いがあるため、自分たちとしては体の大きなレスラーが多い全日本プロレスに的を絞りました。ところが、その段階で新型コロナウィルスが流行してしまって。
ジュン 今すぐ何かをするということができなくなってしまったので、それだったら入門テストに受かるための身体づくりとして、徹底的に鍛え直そうと考えをあらためました。テストに合格しなければ練習生にもなれないし、何の話にもならないじゃないですか。絶対に受かるためのトレーニング期間だと割り切って、コロナ禍を過ごすことにしたんです。