全日本プロレスで活躍する史上最強の双子プロレスラー、斉藤ジュン(兄)と斉藤レイ(弟)によるユニット“斉藤ブラザーズ”を知っているだろうか? 

 ともに身長190cm超、合計体重約250kgの圧倒的なフィジカルを武器に、2021年のデビュー直後から頭角を現し、世界タッグ王座戴冠、プロレス大賞新人賞・最優秀タッグ賞受賞など、マット界を席巻している。また、端正なルックスとお茶目なキャラクターが人気を集め、写真集発売、CDリリースとリング外にも進出。その勢いは、とどまるところを知らない。

 しかし、2人の人生は紆余曲折だ。日本人の母、アメリカ軍人の父を持ち、両親は双子が母のお腹にいるときに離婚。高校時代はアメリカで過ごした。“斉藤ブラザーズ”として花開くまで――。足跡を振り返ってもらった。(全3回の1回目/続きを読む)

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兄の斉藤ジュンさん(左)と弟の斉藤レイさん(右) ©杉山秀樹/文藝春秋

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弟の勧誘から始まった「プロレスラーとしての第2の人生」

――現在はマット界での活躍のみならず、テレビやラジオへの出演、さらには斉藤ブラザーズ写真集『DOOM!』、メジャーデビューシングル『どっち?』のリリースなど、リング外でも飛ぶ鳥を落とす勢いです。お二人はこの人気をどのようにとらえているのでしょうか?

レイ デビューして2~3年後には、世界タッグ王座を獲りたいという気持ちがあったので、人気のあるレスラーになれるという自信はありました。ただ、写真集を出したり歌を出したり、こんなにいろいろなことができるとは思っていなかったですね(笑)。

ジュン 自分は弟から、「プロレスをやってみないか」と誘われて30回……そんな数じゃきかないな。とにかく顔を合わすたびに、「プロレスやろう」と誘われました。当時、自分たちは大相撲を引退して30歳を超えていましたから、そんなに甘い世界じゃないと断っていたんですけど、あまりにしつこかったんで最終的に自分が折れて、挑戦してみようとなったんですよね。

顔を見合わせるジュンさん(左)とレイさん(右)

――レイ選手のしつこすぎる勧誘がなければ、史上最強の双子プロレスラー“斉藤ブラザーズ”は誕生していなかったと。

ジュン それは間違いないですね。相撲を8年もやっていたので、格闘技の厳しさは身に染みているし、またゼロから始めることの大変さも分かっている。だからこそ中途半端な気持ちじゃなくて、プロレスラーとして第二の人生を成功させるんだという気持ちがありました。

レイ 自分らは元力士で双子という他の選手にはないキャラクターがあったので、絶対に人気は付いてくると信じていましたね。