グラビアアイドル、そしてアーティストとして活動するあにお天湯さん(24)。母は不倫、義父は暴力と安らぎのなかった地元・岐阜から所持金ゼロで東京へ飛び出した彼女が辿り着いたのは、SMの女王様とマゾのおじいちゃんとの奇妙な共同生活だった。(全3回の2回目/続きを読む)
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進学費用は「全部離婚の裁判に使いました」
ーー問題のあった義父と離れたことで、あにおさんに平穏は訪れたんでしょうか。
あにお 祖母の家に住むことになったんですが、山の中で街灯がないくらいの田舎にあって、高校への通学時間が3時間になったんです。なので朝4時起きになりました。祖母の家からだと、私が本当は行きたかった美術科のある高校の方が近くて。駅に行くとその高校の生徒が画材を両手にいっぱい持ってバス停に並んでいるんですよね。それが本当に辛くて。
それでも高校3年まではなんとか通ってました。母には「大学は好きなところに行っていい」と言われていたんです。でも高3の時、正式に義父と母との離婚が成立して苗字が変わるタイミングで、母から「あなたの大学進学の費用は全部離婚の裁判に使いました」と明かされ、大学にも行けないと分かってしまって。
学校では特進クラスに入っていたんですけど、もう何にも頭に入ってこないんです。それで学校を辞めました。教師からは「進学しないやつはクソだ。お前はこの選択を一生後悔することになる」とか言われて。でも、はいはいという感じでした。
ーーその状況では気力も萎えてしまいますよね……。
あにお 高校時代にはセブン-イレブンで一生懸命アルバイトをしてたんですけど、ある朝起きたらキャッシュカードがなくなっていて。祖母に聞いたら「ママが持って行ったよ」とか言われて。なんか、本当に全然うまくいかなくて……。
どうにかこの状況から抜けたいと、高校を辞める直前ぐらいに「ミスiD」のことを知って応募したらサバイバル賞を受賞して。「こっちにかけてみようかな」と思って、東京に行きたいなと思い始めました。でもまずは実家から出たい思いが強かったので、岐阜県内の栄えてる町に引っ越そうと思って、知人に頼ったんですけど、また裏切られて……。
本当に悲しい気持ちになっちゃって「もうここはダメだ。岐阜からとりあえず出よう」と思って。貯金も何も持ってなかったんですけど、夜行バスで東京に行きました。