東京都内で高齢者にひったくりをしたとして今月16日に窃盗の疑いで逮捕された会社員の高見栄治容疑者(52)は、自宅がある三重県から「GoToトラベル」を利用して上京していた。コロナ禍で苦境にあえぐ観光業界を守るために政府が打ち出した肝いりの事業を、犯罪のために悪用したのか――。高見容疑者は容疑を否認しており、警視庁が動機の解明を急いでいる。
現金7700円が入った財布やポーチ、食料品が奪われた
昨年10月9日午後2時ごろ、東京都足立区の人通りが少ない路上で事件は起きた。狙われたのは買い物帰りの近所の主婦(69)だった。原付きバイクに乗った男が歩いていた主婦に後方から近づくと、追い抜きざまに主婦が右手に持っていた手提げバッグをひったくり、そのまま逃走した。主婦にけがはなかったものの、現金7700円が入った財布やポーチ、食料品が奪われた。
窃盗事件のエキスパート「警視庁捜査第三課」が主導して周辺の防犯カメラを確認したところ、浮上したのが高見容疑者だった。現場の下見をするかのように事件の直前にバイクで走り回り、事件後にバッグを持って走り去るカメラ映像が決め手となった。しかし、逮捕された高見容疑者は「全く知りません。人の物は盗んでいません」と容疑を否認したという。
なぜ三重県の居住者が、わざわざ東京にまで来てひったくりをしたのか。