新型コロナウイルスの感染拡大によって、自殺率の上昇が社会問題になっている。東京都健康長寿医療センター研究所などが自殺動向を分析したところ、2020年春(2月~6月)の「第1波」では自殺率が低下したものの、夏(7月~10月)の「第2波」では過去3年間の同時期に比べて自殺者数が約16%増加していたという。特に女性や子ども・青年を中心に自殺率が上昇していたことが、社会に衝撃を与えている。
コロナ禍でさらに深刻化した「孤独死」問題
近年問題になっていた「孤独死」の現状も、コロナ禍でさらに深刻になっている。新型コロナによって、人と人との接触の機会が減り、地域の見守り活動なども難しくなったことなどから、長い間遺体が見つけられないままになってしまうケースが多くなっていると報じられているのだ。
「特殊清掃」の仕事とは
2020年、一般社団法人日本少額短期保険協会/孤独死対策委員会が発表した第5回孤独死現状レポートによると、孤独死の平均発見日数は、17日。2週間以上遺体が発見されない計算になる。このままさらにコロナ禍が悪化すれば事態はますます深刻になっていくだろう。
そうした問題が苛烈化すればより負荷がかかるのが、孤独死などの変死体があった屋内外などの原状回復をサポートする「特殊清掃」の仕事に当たる人々だ。遺品整理からゴミ屋敷の清掃、そして亡くなった人の部屋の原状回復などに当たる過酷な職場の実態は、ほとんど知られていない。
社会的な役割が増大しているこの「特殊清掃」の仕事について、特殊清掃会社・ラストクリーニング茨城の代表である天池康夫氏の原案協力のもと描かれた漫画がある。脱サラした39歳の主人公が、孤独死などの変死体があった屋内外の原状回復を行う特殊清掃の仕事を始める物語、『不浄を拭うひと』だ。
今回はその1巻から、1、2、そして4話をお届けする。