安藤美姫の、芸能人的な自意識
しかしそんな彼女も、2013-2014シーズンを最後に現役を退いて以降、解説者などにはならずアイスショーの出演とテレビのバラエティ番組をメインに活動している。生来の気の強さからテレビへの適応に苦労した時期もあったが、徐々に角が取れ、今ではフリートークもお手の物だ。バラエティ番組『アイ・アム・冒険少年』(TBS系)の無人島を脱出する企画「脱出島」では常連にもなっている。
昨年の12月には「Zoom ファンミーティング」を有料で開催した。そんなところもインフルエンサー、芸能人的な自意識を感じさせる。
「指導者を目指す」と話していた時期もあるが、実際の安藤の活動からは、指導者への意欲はそこまで感じられない。他の元トップ選手たちを見ても、浅田真央や荒川静香(39)がコーチとしてのキャリアを目指しているという話は聞かない。振付師として活動を始めた鈴木明子(35)が数少ない例外だろう。
指導者の待遇は決して悪くない
なぜフィギュアのトップスケーターたちは指導者を目指さないのか。フィギュアスケートの取材歴の長いベテラン記者はこう語る。
「スケートも指導者としてやっていく道はありますよ。クラブや大学のコーチはたくさんいますし、給料もそれなりに出ています。指導者として名をあげれば、収入も数千万円単位になります。国際大会へ同行する時は当たり前のようにビジネスクラス、という人もいます。テレビ出演で同じ額を稼ぐのは簡単ではないと思います」
一流選手が一流指導者の資質を持っているとは限らないが、現役時代の実績は何かと有利に働くのも事実。では収入という面でも問題ないとしたら、なぜその道を選ぶ元スター選手たちがこんなにも少ないのだろうか。
「フィギュアの人気が高くなったことが理由です」
前出の記者が、言葉を続ける。