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高橋大輔がたたき出した異常な「数字」 全日本選手権で“羽生結弦に勝つ”可能性は……?

2020/12/25

「視聴率」は、番組への関心を物語るデータだ。もちろん視聴率がすべてではないが、世間の注目度を計る尺度であるのは間違いない。

 その点から見て、11月27日から29日まで行われたフィギュアスケートのNHK杯は興味深い。2020年のNHK杯の視聴率は、前年よりも大きく落ち込んだ。

 2019年のNHK杯で平均視聴率が一番高かったのは、女子シングルフリーの16.1%(ビデオリサーチ調べ、数字は関東地区。以下同)。続いて、男子シングルフリーの14.5%。

 2019年の女子シングルには、日本のエース紀平梨花が出場していたことに加えて、ロシア若手女子の1人として急成長中だったアリョーナ・コストルナヤやアリーナ・ザギトワらが出場していた。紀平とコストルナヤの激しい一騎打ちの末にコストルナヤが金メダルを獲得したが、勝負の行方にも大きな注目が集まっていた。

 一方の男子は、14.5%の高視聴率の原動力はなんといっても羽生結弦の存在だろう。ただこちらはショートが終わった時点で2位と17ポイント以上の大差、フリーでもそれを広げて50ポイント以上離しての独走だったこともあり、女子には届かなかった。

羽生結弦 ©GettyImages

女子は半減、男子も大幅下落

 しかし2020年、NHK杯の視聴率はがくっと落ちた。

 女子シングルフリーは、中継時間帯が夕方だったこともあり、8.0%。午後7時30分放送開始と、高視聴率が出やすい時間帯だった男子シングルフリーも8.1%にとどまった。

 女子はマイナス8.1ポイントで半減以下、男子も6.4ポイント下落した。大幅下落の裏には、複数の理由が存在している。

 今年のNHK杯は新型コロナウイルスの影響で変則開催となり、参加した海外選手は女子シングルの1名だけという、“ほぼ国内大会”状態。

2012年の羽生結弦と高橋大輔 ©文藝春秋

 日本人選手でも、海外に拠点を置く選手は不出場だった。紀平や宮原知子、宇野昌磨らが出場しなかった。そして今年のグランプリシリーズを欠場している羽生ももちろんいない。ファンにとって寂しい顔ぶれだったことは否めない。

 そんな大会で最も高い視聴率をたたき出したのは、意外なプログラムだった。なんと、アイスダンスのフリーダンスが中継された時間帯が、10.1%でシングルよりも高かったのだ。

 女子シングルフリーと男子シングルフリーに挟まれた時間帯の放送だったが、これが大会を通じた最高の視聴率なのである。

 1年前に「アイスダンスが視聴率で1位になる」なんて言ったら、誰もが一笑に付したことだろう。そんな異常事態を引き起こした理由は、アイスダンスに出場した村元哉中・高橋大輔の存在しかない。