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バンクーバーオリンピックでの銅メダル、世界選手権優勝などシングルで実績を残してきた高橋のアイスダンス転向は、発表時点から話題をさらった。しかも30歳を超えてフィギュアでは大ベテランに属する年齢での挑戦だから、なおさら人を惹きつけた。
NHK杯の現場では、メディア関係者も村元・高橋に熱視線を注いでいたという。ある新聞記者もこう証言する。
「大会の中で一番だったかもしれません。なんだか2人に対する熱気が高かったような感じがしました」
14位でも瞬間最高視聴率
とはいえ、高橋大輔が本当にそれほどの“数字”を持っているのか、と疑問視する向きもあるだろう。あくまでプログラムごとの平均視聴率で比較しているわけだから、他のペアが数字を持っていた可能性もあるし、時間帯に恵まれた幸運だった可能性もないではない。
しかし、高橋の人気を物語るデータは他にもある。たとえば2019年の全日本選手権だ。
この大会で瞬間最高視聴率をたたき出したのは、男子シングルフリーで羽生の得点が出た瞬間で、25.0%。
当然ショートでも羽生が1位……と思いきや、こちらの瞬間最高視聴率は、高橋が演技を終えて得点を待つ瞬間の19.6%だった。
高橋のショートの得点は、1位の羽生と40ポイント以上離れた65.95で14位。それでも誰よりも多くの人がその得点が出るのを固唾を飲んで見守っていたのだ。
そう考えれば、今年のNHK杯でアイスダンスの視聴率を押し上げた大部分が高橋の力と考えるのは自然なことだろう。