2020年末に行われたフィギュア全日本選手権。会場はもちろん満員となり、テレビの視聴率も高かった。スター選手の引退で先行きが懸念されていたフィギュアスケートだが、今も高い人気を保っている。

2016年にマドリードで行われた「レボリューションオンアイス」で滑る安藤美姫 ©️Getty Images

フィギュアの指導者を目指す選手は少ない

 スポーツニュースや新聞での扱いも大きい。つい20年前には大会のテレビ中継さえ満足になかったことを考えれば、隔世の感を覚える。

 しかしそんな中で、1つ不思議に思うことがある。競技を引退したあと、指導者を目指す選手が少ないことだ。

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 たとえばプロ野球では、「引退したら監督、コーチになりたい」と話す選手は多い。チームの数、コーチの席は限られているので誰もがなれるわけではないが、引退した選手の進路として指導者はかなり優先度が高い職種だ。

 これはプロ野球に限った話ではなく、アマチュアスポーツでもトップ選手が引退して指導者になるルートは“主流”と言えるものだ。

織田信成もトラブルで退任

 しかしフィギュアスケートの場合、引退して「指導者を目指します」という選手は多くない。

 特にフィギュアスケート人気が高まってからの選手はその傾向が強い。思いつくのは2017年に関西大学の監督に就任した織田信成(33)くらいだが、濱田美栄コーチとのトラブルで2019年には退任を余儀なくされている。

 女子選手にも、同じ傾向がある。たとえば安藤美姫(33)だ。

 安藤は、まぎれもなく世界的なトップスケーターだった。オリンピックではメダルに手が届かなかったものの、世界選手権では優勝。その他の国際大会でも華やかな活躍を見せた。

 日本のフィギュアスケート人気にも大いに貢献し、浅田真央(30)とともにフィギュアブームをけん引した存在でもある。自宅に連日メディアやファンが殺到した時期もある。