疑惑が表沙汰になった後も、内閣府の庁舎内に個室
西川氏が内閣官房参与の職を辞したのは、昨年12月8日のこと。その直前の12月2日、東京地検特捜部が、「アキタフーズ」の元代表から数百万円の現金を受け取った疑いで吉川氏を捜査していると報じられていた。その日のうちに吉川氏は党内の役職を辞任。12月25日には、特捜部が東京・永田町の衆院議員会館や札幌市の事務所など、吉川氏の関係先への家宅捜索を行う事態に発展している。
一方、西川氏は、吉川氏の事件が表沙汰になる前から、鶏卵業者との不適切な関係が指摘されていた。7月の時点で、渦中の「アキタフーズ」元代表から、本川一善・元農水事務次官と大野高志・元畜産部長と共に豪華クルーザーで接待を受けていたことが明らかになっていたのだ。
西川氏が震源となって、自民党「農水族」と業者との癒着の構図が暴かれた格好だが、西川氏は捜査のメスが吉川氏に及ぶまで権力を手離そうとはしなかった。
「西川氏は2017年の落選直後から非常勤の国家公務員職である内閣官房参与に就任した。2020年9月の安倍政権退陣後に一旦、職を辞したものの、すぐに後任の菅義偉首相に再任されていた。疑惑が表沙汰になった後も、内閣府の庁舎内に個室をあてがわれ、運転手付き専用車を乗り回すなど、異例の厚遇ぶりが目立っていました」(全国紙政治部記者)
コロナ禍でも都内で会食
それでも政治家として失脚にまで結びつくことはなく、しぶとく生き残ってきた経緯がある。決定的かに思われた今回の疑惑も切り抜けられたのは一体なぜなのか。
「二階氏の後ろ盾があるのが大きい。そもそもこれまで農水省で権勢をふるってこられたのも、幹事長として絶大な権力を握る二階氏の威光があればこそだ。内閣官房参与だった時にも、農水関連の外交交渉に議員団と共に帯同し、二階氏の密使のような役割を果たしていた。
二人の蜜月ぶりはよく知られており、コロナ禍が広がる現在でも、都内で会食を重ねていると聞いている。とはいえ、これだけミソがついてもまだ見捨てないということは、二階氏の側にも簡単には切り捨てられない事情があるのでは、と勘ぐってしまうぐらいだ」(前出の自民党関係者)
地元では、度々カネがらみの醜聞を起こしてきた経緯から「カネもってコーヤ」との俗称もあるという西川氏。転んでもタダでは起きないタフネスぶりには驚かされるばかりだ。