文春野球コラムをご覧の皆様、はじめまして中日ドラゴンズ広報の小林正人です。今回この文春野球コラムに参加させていただくことになりました。よろしくお願いします。
2021年2月1日のキャンプインは例年とはまったく違うスタートとなりました。新型コロナウイルス感染防止のため練習は非公開になり、スタンド、球場周辺にファンの姿はなく、敷地内にすら立ち入り禁止というかなりの厳戒態勢でスタートしました。
監督、コーチ、選手をはじめ、球団関係者、取材に来る報道陣まで週に1度のPCR検査を実施し、1か月間無事にキャンプを行うことができました。しかし、人気マスコットのドアラが沖縄に来なかったこと一つをとってみても、いかに異例のキャンプだったかが想像できると思います。
我々広報の仕事もまったく違う形になりました。記者の方たちにこれまで通り取材していただけなくなったことで、自分なりに考え、自分が記者になったつもりで情報を発信しようと思い、練習を見ていて気になったことは選手に話を聞き、時には写真を撮り、時にはインタビュアーになり、少しでも多くのドラゴンズの情報をお伝えできるように努めました。
また、これまで球団としてあまり積極的に行っていなかったSNSなどでもキャンプを見られないファンの方のために、普段はなかなか見られない部分や選手の凄さを発信するようにしています。これからもSNSやこの文春野球などで、選手のいろいろな面を伝えていけたらと思います。
目標は「セ・リーグ優勝」ではなく「日本一」
まもなく2021年シーズンの開幕です。中日ドラゴンズは昨シーズン、セ・リーグで3位、8年ぶりにAクラスに入ることができました。8年間Aクラス入りすることができずに悔しい思いをしてきた選手たちには多少の満足感もあったかと思います。
ですが、シーズンオフの取材時や契約更改後の記者会見などでの選手たちの話を聞いていると、そんなことは全然感じませんでした。むしろ、さらに高い目標を目指して戦っていくんだという強い思いを感じています。今までは目標といえば「セ・リーグ優勝」と聞くことが多かったのですが、選手の中で最終目標が「日本一」という意識に変わってきているのです。
昨シーズン、あれだけダントツでセ・リーグ優勝したジャイアンツが、日本シリーズでパ・リーグ優勝チームのホークスに4連敗したのもかなり影響があったと思います。やはり自分たちはもっと高いところを目指さなくてはいけないという意識に変わったのでしょう。
大野雄大は「これまでは目標をリーグ優勝にしてきた。でも、去年のソフトバンク対巨人の日本シリーズを見たとき、セ・リーグであれだけ独走した巨人が2年連続でソフトバンクに4連敗した。強いソフトバンクを倒すことを一番の目標にした方がいいと思いました」と話していましたし、大野雄大と最優秀バッテリー賞を受賞した木下拓哉は表彰式で同じく受賞したソフトバンクホークスの千賀選手、甲斐選手のバッテリーに「来年は日本シリーズで対戦して勝ちたい」とコメントしていました。
もちろん大前提としてセ・リーグ優勝というのが目標になります。「セ・リーグ優勝」「クライマックスシリーズを勝ち抜く」、そして「日本一」。これが今のドラゴンズの選手たちの目標です。