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長女自らスマホで虐待の実態を隠し撮り

 長女が自らのスマートフォンで被害の様子を隠し撮りしていたのだ。ある捜査関係者は「仮にその日初めて暴力を振るわれたとしたら、動画を撮影しようと突然思いつかないだろう。日常的な虐待があったと考えるのが自然だ」と見る。

写真はイメージ ©iStock.com

 嘉風は日体大3年の02年にアマチュア横綱に輝き、04年に初土俵。06年に新入幕を果たし、小柄ながら突き押しを得意とする激しい取り口で人気を集めた。08年12月には、生け花デザイナーだった大阪出身の大西容疑者と結婚。一目惚れした嘉風の猛アタックが実ったのだという。

 19年に故郷の大分県佐伯市での合宿中に右膝を痛めて手術し、37歳で引退を余儀なくされたものの、以降は親方として後進の指導に当たっている。3人の子宝(長女、次女、長男)にも恵まれ、次女は生後間もなく亡くなってしまったが、3歳年上の姉さん女房と幸せな家庭を築き上げてきたように見えた。

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2010年大相撲秋場所 千秋楽 (左から) 嘉風(敢闘賞)栃煌山(技能賞)豪風(敢闘賞) ©日本雑誌協会

 しかし、実際のところ夫婦は離婚調停中で、大西容疑者は事件後に夫や子どもと別居して東京都中央区で暮らしていた。大西容疑者には高級ブランド品を身につけるなどの「セレブ志向」があり、嘉風が浪費癖にウンザリしていたという情報もある。

 警視庁は大西容疑者の認否や供述内容を明らかにしておらず、虐待に至った経緯について慎重に調べを進めている。