髪を引っ張り、体を蹴り、目には虫刺されの治療薬をこすりつけようとした――。小学生の我が子を虐待したとして警視庁に暴行容疑で3月22日に逮捕されたのは、大相撲の元関脇・嘉風(よしかぜ・39)の妻だった。結婚生活12年を数える元人気力士の家庭で何があったのか。

嘉風(現・中村親方)と妻の大西愛容疑者(2008年の結婚披露宴) ©共同通信

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大西容疑者が『夫からDVを受けた』と110番してきたが...

「ムヒ、目に入れたろか!」

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 関西なまりの怒声が東京都世田谷区のマンション一室に響いたのは2020年6月。この部屋には嘉風(現・中村親方)の一家が暮らしており、声の主は妻の大西愛容疑者(42)だった。大西容疑者は小学5年の長女(11)の髪を引っ張ったり体を蹴ったりした上、虫刺され用の塗り薬「ムヒ」を目にこすりつけようとしたのだ。一連の虐待を警視庁は看過できないと判断し、大西容疑者を逮捕するに至った。

 密室で行われた悪事はなぜ明るみになったのか。捜査関係者が語る。

大西容疑者の逮捕を伝えるニュース FNNプライムオンラインより

「事件の翌7月、大西容疑者が『夫からDVを受けた』と110番してきた。しかし、調べを進めてもDVの形跡は確認できず、逆に大西容疑者の言動に不審な点が出てきた。長女は父親に相談もしていたため、結果的に大西容疑者が墓穴を掘ったことになった」

 虐待を裏付ける“動かぬ証拠”も思いがけない形で残されていた。