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総務省と放送事業者の慣れあい

「(取材を受けた)あの時点でうちが違反をしているとわかっていたら、そう話しています。申し訳ありませんが、私は知りませんでした。新聞社からの問い合わせがあって調べると、2014年に議決権のある外資比率が20%より0.00042~0.00083%超えていて、僅かとはいえ法律違反だったのは間違いない。当時の担当常務だった現社長の金光修が総務省に報告していたことも知りました。

 私は相談役ですから表立って発言する立場ではありませんが、(問題の発覚)当初、金光が『正式には総務省に報告していない』と発言していたこともおかしい。だから彼には、『常務が役所に行っているんだから公式の報告だ、すぐに訂正しろ』とアドバイスしました」

日枝久氏(フジ・メディア・ホールディングス相談役) ©文藝春秋

 すでに「文藝春秋 電子版」ではフジの外資規制違反について書き足しているが、むろん単純ミスだと許される話ではない。14年時、日枝はフジMHの代表取締役会長でもあった。とすれば、放送局の免許条件に触れる重大事を会長に報告もせず、事実を隠したまま水面下で総務省と結託して難を逃れたことになる。

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 その金光から2度の報告を受けた総務省側の窓口は情報流通行政局放送政策課長だったことも判明している。14年12月、課長は局長へも報告し口頭による厳重注意で済ませたというが、その間、何があったのか。法違反を隠ぺいしてきた事実に対するフジ、総務省どちらの責任も免れない。

 東北新社の接待問題は総務省と放送事業者の慣れあいの延長線上にある。(敬称略)

出典:「文藝春秋」5月号

 菅首相は、官僚たちの忖度を巧みに利用し、親族に便宜を図ってきた。ノンフィクション作家、森功氏が長男・正剛はじめ家族の問題、接待問題の本質に斬り込んだ「菅義偉『ファミリー』の研究」は「文藝春秋」5月号および「文藝春秋 電子版」に掲載されている。

文藝春秋

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菅義偉「ファミリー」の研究