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浜辺美波が歌手活動をした感じ……?

 このように全盛期の桃子人気はすごかったのだが、今でいうと誰のような存在だったか、例えたい。そのほうが分かりやすいと思うのだが、これが全く思いつかない。

 驚くほどかわいい顔にかわいい声。そして「桃子」という素晴らしくスイートな本名。この3つがミラクルに揃った菊池桃子。アイドルとして生きる宿命を授かった人としか思えない。現役芸能人でいえば、顔も声も名前もかわいい浜辺美波が歌手活動をした感じかな? そう無理やり答えを絞り出したが、異論もちろん受け付けます……。

3枚目のアルバム『ADVENTURE』(1986年発売、Vap)

青春エッチコメディー映画『パンツの穴』でデビュー

 話を戻そう。桃子のデビューは、意外にも青春エッチコメディー映画『パンツの穴』である。公開は1984年で、当時はシブがき隊や角川3人娘など、アイドル映画花盛りの頃。私も劇場に観に行ったが、主演の山本陽一と菊池桃子がなんとも爽やかで、下ネタの多さも「青春」として成り立たせていて、妙に感心したのを覚えている。

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 しかしなにより私が強烈に覚えているのが、1988年の日本テレビ開局35周年記念番組ドラマスペシャル『スクールガール・セレナーデ 桂華學女小夜曲』。これで菊池桃子は大正時代反体制運動にのめりこむ女子大生を演じた。最後に特高に殴られた体を引きずり、首を吊るシーンがあり、その静かな迫力に度肝を抜かれた。

 このドラマでお嬢さまアイドルというイメージをドロップキックで壊され、「女優・菊池桃子の本気」を感じたのを覚えている。

デビュー作『パンツの穴』は青春エッチコメディー映画だった(オデッサ・エンタテインメント)

 そんな彼女も今年でデビュー38年。キャリアを順調に積み、若い世代なら、2020年のNHK朝のテレビ小説「エール」で、主人公・古山裕一の母親役で印象に残っている方も多いだろう。

 ガチガチの優等生に見えて、柳のように柔軟。菊池桃子はしなやかに、いろんなことに挑戦し、新陳代謝を繰り返している。

 そして「カワイイは正義」を体現し続けている。