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エナジーを注入されに、美術館へ

 絵画作品をたくさん並べたミリアム・カーンの展示空間も、なんとも言えず美しい。即興的に、スピード感を持って描かれたのだろうと想像されるドローイングは、ときに筆致がゆらぎ、もののかたちははっきりと分かったり分からなかったり。

ミリアム・カーンによる展示風景
ミリアム・カーンによる展示風景
ミリアム・カーンによる展示風景

 きわめて感覚的な表現に見えるけれど、もちろんそれでいいのだ。何か言葉にならぬ感覚的なものをこそ、彼女は表現し伝えようとしているだろうから。

 会場に掲示されている彼女の言葉が、まさに言い得て妙である。

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「それが一体何なのかを知らずに、作品を見ることができなくてはなりません。
 アートはすべての人にとって、言語を介さず理解されるべきなのです」

 そのほか次々と立ち現れる計16人の表現は、素材も手法も方向性もバラバラだけど、どの作品も詩情を湛えて美しい。

三島喜美代《作品92-N》
三島喜美代《作品92-N》

 展名から察するに、「アナザーエナジー」とは「挑戦しつづける力」のことを指している様子。だがここでは「美を希求してやまない気持ち」こそ、彼女たちと私たちを駆り立てる力になるのだと解釈しておきたい。いずれにしても会場に身を置くと、16人のアーティストから強烈なエナジーを分けてもらえること請け合いである。

ベアトリス・ゴンザレス《悲嘆に直面して》