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大和には残留してもらいたいけど、FA宣言はしてほしい?

 そう考えると、大和の場合はFA市場にあえて飛び出し、多くの球団に対して自らの時価評価を求めることこそが、その“きっかけ”としては有効になるはずだ。

 報道によると、大和はFA宣言について「他球団の評価を聞いてみたい」と言ったそうだが、これは阪神ファンの私としても理解できるのと同時に、興味深い事柄でもある。果たして、大和は他球団からどんな評価を受けるのか? より具体的な話をすると、大和という稀有な名手に対して、他球団はいったいいくらの値をつけるのか?
阪神ファンとしては不謹慎かもしれないが、その重要性を信じて疑わない贔屓の選手が外からどう見られているのか、という点に好奇心が刺激されるのは自然なことだろう。

 だから、私は大和について矛盾した想いを抱えている。

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 彼は阪神に必要不可欠な戦力だ、だから残留してほしいと願う一方で、彼に対する他球団の評価にも興味があるため、大和にはぜひともFA権を行使してもらいたい、とも思ってしまう。大和流出は困るのだが、大和争奪戦、とりわけそのプロセスには胸が躍る。要するに、大和のFA物語は“宣言残留”こそが最高の決着になるということだ。

 幸いにして、阪神は宣言残留を認める方針の球団である。もっとも、FA制度の存在意義を考えると、宣言残留を認めないというのは一種の踏み絵みたいなものになるため、そもそも認めて当然だと思うのだが、まあ、それについては別稿にする。

 とにかく、阪神が宣言残留を認めるなら、堂々と他球団との争奪戦に挑み、大和の重要度に対して正当な高評価を与えたうえで、競り勝ってほしい。こういう“きっかけ”がないと、彼のユーティリティーぶりと守備力は十分に評価されないだろうから。

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