ドラフト成功の鍵は松田元オーナーのパンツだった?
そして、2017年。カープはぶっちぎりの2連覇ながらも、まさかのCS敗退という、一切予想もしなかった悲劇。王者の貫禄は何処へやら……。シーズン中の“カープ野球”ができぬまま、あっけなく終わった。九州への飛行機を急いでキャンセル、タクシーに乗れば運転手さんの嘆きが止まらず、広島の街は静まり返っていた。カープファンの楽しみはもうドラフト会議しかなかった。
松田元オーナーは、1番人気の清宮幸太郎との面談をせず、早い段階から指名しないことを決めていた。宣言通り、地元・広陵高校の中村奨成を1位指名。中日ドラゴンズとくじ引きの結果、残り物の当たりくじが回ってきた。緒方監督のガッツポーズ、その時の歓喜、日本シリーズへ行けなかったという悲しみを軽減してくれたあの瞬間は忘れられないだろう。赤いキャップをかぶった中村君の笑顔は、久しぶりの癒しをくれた。
大成功の鍵は松田元オーナーのパンツ。タイ・バンコクの「広島カープを優勝させる会」から贈られたパンツで挑んだそうだ。「即戦力はいないが、何年か後が楽しみじゃ」とドラフトの成功を喜んだ。巨人の高橋由伸監督はその日のために新調したぴかぴかのスーツ、楽天の立花陽三社長は松井裕樹を獲得した時のスーツで清宮獲得に気合いを入れる中、カープは「勝負パンツ」で勝利した。
先述の通り、ドラフト成功が唯一の癒しで、ただ今日本シリーズの真っ最中ではあるが、あまり楽しめてはいない。どちらの活躍もどんな結果も、直視できないわたしがいる。中村君の入寮や初キャンプ、リーグ3連覇の妄想をすることの方が楽しい。赤い「勝負パンツ」で来年もたくさんのドラマに出会いたい、興奮する試合をたくさん目に焼き付けたいと今から願うばかりだ。
最後のコラムとなりました。1年間本当にどうもありがとうございました!
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